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隻眼男と白兎

第4章 身だしなみチェックは良い女の秘訣である


「会議は終めェだ。」

時刻は8時30分。

今日の議題は、最近難航している食材調達と、じきに協定を結ぶであろう組織についてだった。

そんな簡単な議題のはずが予定より30分も長引くたァどうゆうことだ。

朝早く起こされるうえでの話の見えない会議は、

全員ブった切ってやりたくなる衝動に駆られる。


煙管を片手にズカズカと食堂に向かう俺に何やら来島が駆け寄ってきた。

「晋助様!
…その…チサの事話さなくて良かったスか?」


…あ。

忘れてた。

「食堂なら全員集まるだろう。その時言やァいい」

そうだ。

どうせなら本人に自己紹介させた方が説明するよりずっと楽だ。

とりあえず今は早く飯が食いてェ。

「今日の料理当番って確か勘太郎だよな?」
「アイツ料理できなくなかったっけ?」
「ただでさえ高杉様朝食前で機嫌悪いのに…」
「お、オイ!聞こえるぞ!」

隊士が後ろで話す声が聴こえる。

丸聞こえなんだよ。

聴くところによると今日の飯は期待出来ねェらしい。

まァ腹に入れば全部一緒だ。

さっさと食って俺は寝る。


しかし予想とは裏腹に食堂に入れば、食欲のわく匂い、全ての机に並ぶ色とりどりの料理がそこにあった。

後ろのからは歓喜の声が聴こえる。

俺が定位置に座ると、お盆を持ったチサがお茶を乗せてやってきた。

『お茶どうぞ!高杉さん!!』

「この料理、お前ェが作ったのか?」

『エヘヘ、勘太郎さんと一緒にですけどね!
この卵焼きとか自信作なんですよ!』

チサが照れ笑いを浮かべる。


「勘太郎!なんだよお前!こんな料理出来たっけ?」
「何これ美味しいんだけど⁉︎ホントにコレお前が作ったの⁉︎」

何やら一人を囲んで口々に絶賛の声をあげていた。

「いや。ほとんどチサさんが作ってくれたんだよ。俺は手伝っただけ」

一斉に全ての目がチサを捉えた。

「良い機会だ。お前ェ、自己紹介しとけ」

あまりに多くの人に見られビクついてたチサだったが、俺が一声言うと頷き、大きく声をあげた。

「昨日から鬼兵隊に入りました!新 チサですー!皆さんよろしくお願いしますーー!」


でけェ声だが不思議と不快な気はしなかった。


チサの自信作とやを一口食べる。


やるじゃねェか。


美味ェな。

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