第4章 身だしなみチェックは良い女の秘訣である
一服を終え、船内をプラプラしている私。
昨日大体の場所は案内してもらったが、この船の広いこと広いこと。
究極の方向音痴な私には危ないので今場所の予習している所だ。
客間
大風呂
武器庫
そして食堂に差し掛かった時、
ガシャアアアンン
パリンッガシャガシャ
何やらやかましい音が厨房の方から聞こえた。
「くっそっ…!なんで俺一人なんだ!」
厨房を覗くと、料理には縁もなさそうな戦闘一筋ですって感じのイカツいお兄さんが一人、食材の前で頭を抱えていた。
『ダイジョブですか?』
声を掛けると
「アンタ誰?」
まぁそうなりますよね(^ω^;)
『私、新 チサって言います!昨日からココにお世話になることになりました!ところで何かお困りですか?』
男の人はふうんと頷いて
「俺は二宮 勘太郎だ。会議で厨房当番のやつらが出払っちまって朝の料理当番が俺だけになっちまってな。人手不足で困ってるところだ」
ここの料理って当番制だったんだ…。
この船の人数分を一人で作るのか…。
大変だよなぁ…。
いや、待て。
それ無理くね?
無理だとしたら朝ごはん抜き?
ノンノンノン。
私はしっかり三食食べる子よ。
朝ごはんは一日の大事なエネルギーよ。
朝ごはん抜きなんて。
万死に値するよ⁉︎
『あの…。もし良かったらお手伝いしますよ?』
朝ごはん抜きぐらいなら自分で作る!!
こう見えても私、現世では一人暮らししてたし、賄い目当てで飲食店のバイトもしてたし、家事料理は得意だったりする。
今意外って思った人。
正直に手をあげなさーい?
今正直に言えば先生怒らないから。
涙目なんかになってないから。
「!いいのか⁉︎そうしてもらえるととても助かる!」
筋肉隆々の勘太郎さんがパアっと笑顔になる。
あ、笑うと可愛いなこの人。
その上料理も出来るなんて、なんて素敵な殿方ですこと!
『もちろんです!じゃあ何からお手伝いしましょうか?
とりあえず今日の献立はなんですか?』
「うん!考えてない!とりあえず卵かけご飯?」
(^ω^♯)
私のトキメキを返せ。
私はエプロンをキュッと結ぶ。
ついでに勘太郎さんの首もキュッとしたくなる所を我慢する私は、まるで鬼教官のごとく勘太郎さんに指示をしながらのご飯作りになりました。