第23章 アニメ化もだいぶ経っちゃいましたけどね
「あのォ、土方さんソレ何ですかィ?」
「知らん。何かの電池かな?」
な状態で止まっている沖田くんと土方さんの姿があった。
「あった!間違いないよ。土方さんが持ってるのが予備の電池だ!」
頭の良い読者様方ならもうお気付きだろう。
時が止まってるのにどうしてこいつらの会話がわかるのか、と。
そう!これはすべて!
ただの私達の想像です!
「ギリギリ持ち出される前みたいだったアル!良かったネ!これで時計は…」
神楽ちゃんが土方さんへと駆け寄って、
ピタリと止まった。
「オイ!コイツ電池握ったまま止まってるアルよ!
半端ねぇ力で握り締めてるアルゥウ!ビクともしないネェエ!」
神楽ちゃんが力尽くで土方さんの握られた手を解こうとするが、止まった時間ではそれはとても敵わない。
「どけ、甘いんだよお前のやり方は」
『銀さん⁉︎
さっきまで、返事は無いただの屍だったのに⁉︎何時の間に教会に行って蘇生してきたァア⁉︎』
「あ?細かい事は気にすんな。
数段落挟んだらこんなモンだ」
何時の間にか復活し、何事もなかったような涼しい顔でそうメタ発言すると、銀さんは土方さんの方へと近づき、
「離せコラァ!!」
思い切り何回も何回も土方さんのイケメンなお顔を殴り始めた。
「テメェは電池じゃなくてピーでも握ってろ!あぁん?」
「そこ殴っても関係ねーだろォオオ!」
「ぬおおおお!」
「お前ぇに至っては誰をしばいてんだ!」
神楽ちゃんはというと、土足さに紛れて憎き沖田くんの顔を何回も膝蹴りしている。
やがて気が済んだのか諦めたのか、銀さんは土方さんを殴るのを止め、呆れたように溜息をついた。
「どーなってんだコイツ。頑なに電池離さねぇぞ?
ジッちゃんの形見かァ?」
「なんでジッちゃんが電池で動いてんだ!
力尽くじゃ無理ですよ!時間止まってるんですよ⁉︎
…そうだ!少しだけ時間を進めて、土方さんが電池を手放す未来に行けば!」
「なるほど!それ良い案アル!
…進めるアルよぉ」
新八くんの名案に神楽ちゃんは嬉しそうに時計の針を進めた。
カチッ
*
「よォ近藤さん」
進んだ先の未来は、新選組屯所で土方さんが握ったままの拳を上げ、近藤さんに挨拶してるシーン。
「まだ握ったままだぞ」
「あのまま持ち帰ったみたいですね。もう少し時を進めてみましょう」