第22章 アニメにも原作にも譲れない何かがある
「「ダンボールに乗車してたんかィイ!」」
そこには少し前の景色となんら変わらない長谷川さんの遺影があった。
再び時間戻し、新八くんが電柱の下のゴミ捨て場にあった大きなダンボールの中を確認すると、
そこにはこれから死ぬ運命になるなんて全く想像もして無さそうに呑気に眠る長谷川さんが入っていた。
「っくそ!半端ないよ!やっぱこの人の不運は半端ないよ!」
『生半端な抵抗じゃこの人の運命は振り切れないってことか…』
さすが、まるで大凶の運命から逃れられないオッさん、略してマダオ。
最早ここまで来ると、呆れとか同情とか通り越して感動するわ…。
「もうジジイも鼻くそも関係ねぇ!安全な場所へ運ぶぞ!」
言いながら長谷川さんの住む段ボールの上に乗っかったゴミ袋を除ける銀さんにつられるようにして私たちは四人でダンボールごと長谷川さんを運んだ。
わっせっ
わっせっ
わっせっ
…
「ここなら大丈夫だ」
あたり一面岩山しかない場所にダンボールを置いて銀さんは満足気に言う。
…てか、ココどこ?
私の疑問を残したまま神楽ちゃんはまた時を進める。
カチッ
…
通行人B「…普通に死んだって」
「「『普通に死んだって何だァア⁉︎⁉︎』」」
そこにはさっき長谷川さんを置いた何もない荒れ野にやはり長谷川さんの遺影が飾られていた。
それより…
なんでこの通行人さっきから長谷川さんが死ぬ度にいるんだよ⁉︎
と、ツッコミたい思いは私の胸の内に留めておこう。
「普通に死なれたら救いようがないよ!どうなってんの⁉︎救っても救っても吸い込まれるように死んでいくよォ!」
「あっちを生かせばこっちを生かせずか…。
っくそ…。何か方法が…みんなを救う方法が必ずあるはずだ!」
悩ましげに首を傾げる銀さん。
そして…
……
カチッ
…
「魔貫光殺砲ゥウウウ!!」
「「ぐああぁああああ!!!」」
…。
再び進めた時間の先で、
緑の人の指の先から放たれた某必殺技によって、源外さんと長谷川さんが貫かれた場面で止まっていた。
…。
「どうしてこんな未来になったァアアア!!!」
この日、この時間、時の止まった世界で、
新八くんのツッコミだけが静まりきった宇宙中に響き渡った。