第22章 アニメにも原作にも譲れない何かがある
『どうしたらいいの⁉︎
このままみんな戻らなかったら、四六時中着替え途中の半裸状態の高杉さんを見ていなくちゃいけないよ⁉︎』
「………は?」
真剣な表情の私と、私の言葉にポカンと口を開ける三人。
私は気にすることなく続ける。
『半裸なセクシーな高杉さんを怒られる心配する事なく写真に保存しまくれるし、ご飯を食べる時も、一服する時も、寝る時もそんな高杉さんと一緒に居られるなんて!どうしよう私!
溢れ出すパトスが思わず止まらなくなっちゃうよ⁉︎』
ああ!考えただけで鼻血がっ!!
「どうしよう。変態が此処にいましたよ」
黙れ!地味メガネが!
「今なんかすごく失礼な事を言われた気がするんですけどォオオオ⁉︎」
***
アテがあるのか無いのか街を歩く銀さん達について行く私。
「静かだなぁ…
まるで世界中誰もいなくなっちまったみてぇに…」
ポツリと銀さんが呟く。
「だがこんな時だからこそ一旦落ち着こう。冷静になって状況を整理しよう」
『おお!すごいよ銀さん!こんな状況で冷静にそんな事思えるなんて流石だよ!流石主人公だよ!』
私が思わず銀さんを賞賛すると、銀さんは少し嬉しそうにふふんと鼻を鳴らして続けた。
「つまりこの状況は…」
「もう家賃を払わなくて良いって事だな」
……。
「んな事言ってる状況じゃねぇだろォオ!」
新八君の怒りの叫びが銀さんに飛びかかる。
いや、全くもってその通りではあるが、
こんな時にそんな事考えるのはどうかと思うよ⁉︎
主人公にあるまじき考えだよ⁉︎
さっきまでの私の感動を返せよ⁉︎
尚も何か不満を撒き散らす新八君に構うことなく銀さんが懐から取り出したのは珍しい形の時計。
「なんだか知んねーけど、せっかく珍しい時計を拾ったのに早速ガラクタになっちまったってワケか」
「銀ちゃん何アルかそれ?」
「変わってんだろ?多分時計だろ。
売ったら金になると思ったんだけどなぁ」
“売ったら金になる”そう言いながらも銀さんは乱暴にその時計を頭上へと投げてはキャッチする。
「それどうしたんですか?」
怒りも少し収まったらしい新八くんがそれを見やりながら尋ねると、銀さんはたどたどしく記憶を語り出した。
「酔っててあんま覚えてねーんだけどよぉ…」