第22章 アニメにも原作にも譲れない何かがある
鬼兵隊内を駆け回ったが、誰一人として動いている人はいない。
事が起こったのは5分ほど前。
銀さん達の処にいたのは8分ほど前。
私はまた全速力で万屋銀ちゃんを目指した。
もしかしたら!銀さん達ならなんとか出来るかもしれない!
なんとなくそんな希望を胸に抱いて。
万屋まで猛ダッシュする事約3分。
『銀さぁあああんんんん!!』
勢い良く玄関の戸を開ける。
あ、勢い余って扉壊しちった☆
玄関を開けたそこに人の気配は無く、
あるのは玄関で何やら怒声をあげたような表情で固まって倒れているお登勢さんの身体だけだった。
…まさか銀さん達も?
最悪の結末を想像して全身に冷や汗が流れる。
それでも意を決して部屋を確認しに行こうと一歩踏み出すと、
「オイ」
背後から待ち望んだ声が聞こえた。
『銀さ…「なに玄関壊してくれちゃってんだお前ェわよォオオオ⁉︎」
銀さんの鋭い一撃!
私は脳天にチョップをくらいその場にしゃがみこむ。
い…
いってぇ…(涙)
だがしかし!
それでもめげない挫けない!
何故なら私は今猛烈に嬉しいからだ!!
『銀さぁああんん!!会いたかったよォオオオ!!』
涙も鼻水も御構い無しに私は銀さんに抱き着いた。
あ、鼻水ついちった☆
「ついちった☆じゃねぇよォオオオ!」
ガスッ
『ったー…ひどい銀さん!そんなに頭叩かれたら私の脳細胞が死んで馬鹿になっちゃうよ⁉︎』
「大丈夫だ。もうなってる」
『うぎゃああああ!!』
「…何やってるアルかお前ら」
私と銀さんとで妙なコントが繰り広げられている間に、いつの間にか神楽ちゃんと新八くんが呆れ顔をしながらひょっこりと玄関から覗いていた。
『神楽ちゃん!神楽ちゃん達も無事だったんだね⁉︎』
今度は神楽ちゃんへと思い切り飛びつく。
「ぐえっ!チサ落ち着くアル!」
「そうですよ!ところでもしかして鬼兵隊の方も時間が止まってるんですか?」
私は新八くんの問いかけに神楽ちゃんに抱きつきながらうなづく。
『あの後鬼兵隊に着いて割とすぐだったと思う…
ねぇ、皆は元に戻るの⁉︎どうしよう⁉︎
早く戻ってくれないと…!』
「お、落ち着けって」
「チサさん…」
急に声を荒げる私を銀さんは宥め、新八くんは私に哀れんだ目を向ける。