第22章 アニメにも原作にも譲れない何かがある
『ただいまー!!』
「おかえりなさい」
「あ、チサおかえりっス!」
時刻は午前7時5分前。
鬼兵隊の朝は忙しい。
そんな皆が忙しなく動いてる中でも、私の帰還に気付くと挨拶を交わしてくれる。
会う人会う人と挨拶を交わしつつも、真っ先に向かうのは
愛しの高杉さんの部屋。
私は歩みを進める。
チッ
チッ
…
…カチッ。
『高杉さん!チサただいま戻りましたぁ!!』
勢いよく高杉さんの部屋の襖を開けると、そこには大好きな高杉さんの後ろ姿。
ちょうど着替えようとしていたところらしく、袖を片腕に通そうとしたままピタリと止まっている。
『?高杉さん?片腕あげたまま止まって…腕痛くなっちゃいますよ?』
疑問に思った私が声をかけるが、
高杉さんは相変わらず私に背を向けたまま微動だにしない。
朝帰りしたから怒らせちゃったのかな…?
それとも…
その半裸状態の俺にダイブして来いって事ですか⁉︎
そうなんですね⁉︎⁉︎(超ポジティブ)
そ、そんなハレンチな事…
ご馳走様ですゥウウウウ!!
私が高杉さんへとヨダレを垂らしながらダイブすると、
高杉さんごと床へと倒れ込んだ。
高杉さんは変わらず片腕をあげ、袖を通した状態で声もあげず、瞬きもせず床に倒れている。
『高杉さんんんんんん⁉︎⁉︎』
顔面真っ青な私は慌てて部屋を飛び出した。
鬼兵隊艦内を走り回り、見つけた人かたっぱしから声をかけていくが、
皆、止まってる。
『また子ちゃん!万斉さん!』
また子ちゃんは銃の手入れをしながら止まっている。
万斉さんは三味線を弾きながら止まっている。
まるで夜中のような、誰もいないような静寂が鬼兵隊艦内を包み込む。
コレってもしかして。
いや、もしかしなくても…?
時間止まってるぅううううう⁉︎⁉︎