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隻眼男と白兎

第21章 始業式HRまで闘いは続く


「あァ、こりゃ間に合わねェな」

私達は今、手に沢山の甘い物を持って花火のベストスポットである神社の頂上へと登っているのだが、

すごい人の数で一向に前に進めない。

「お前ェがアレもコレもって調子に乗って買いまくるから時間なくなったじゃねェか」

『大半食べたのは高杉さんの方だけどね』

はい。私のわたあめとベビーカステラは全部高杉さんのお腹の中へと消えて行きました。

…私が買ったのにな(^ω^♯)


「お前ェは花より団子だな」

私の口についたチョコバナナのチョコを拭いながら高杉さんはフッと笑う。

『高杉さんだってそうじゃん』

「いや。俺は花も団子もきっちりいただく」

『カッケェエエエエ!!!』

とかコントじみた事をしているうちに頭上でドーンと大きな音が聴こえた。

花火は

見えないっ!!


これはあれか、眼で見るな、感じろ。心の眼で見ろってやつ。

ヒュルヒュルヒュル〜

ドーン


うん。


やっぱ見たいィイイイ!!


確かに花火ぐらいなら心の眼でも見えるけども!

想像と現実じゃ感動の度合いが違うよ⁉︎


こうなったら!
人の頭より高く飛んで、一秒間に5歩ぐらい踏み出せば空中を歩けるのでは⁉︎

いーち(サッサッ←一秒間に5歩動かそうとしている)



無理だァアアアア!!!


私が一人で馬鹿をやっていると、
いきなり繋がれている手が引っ張られた。

『高杉さんっ⁉︎そっち逆…「いいから走れ!」

高杉さんは振り向きもせず前を向いたまま人混みを掻き分け、目的地とは全く逆方向へと走り出した。

私は困惑しながらも高杉さんの気迫に押され黙って追いかける。

やがて人通りも無くなった道を走り、店と店の間を抜け、獣道を駆け抜ける。


高杉さんがやっと立ち止まったのは大きな木の前。

私が呼吸を落ち着かせている間になんと高杉さんはその大きな木の枝に足を掛け登り始めた。

『登るの⁉︎⁉︎』

「お前ェならいけるだろ。
ホラ、手貸してやる」

差し出された手をしぶしぶと掴み、私も高杉さんの少し後を追いかけるように登っていく。


「ホラ、此処だ」

地上から5メートルぐらい登った木の上に高杉さんは器用に腰掛け、少し下を四苦八苦しながら登っていた私を引き上げる。

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