第21章 始業式HRまで闘いは続く
私は高杉さんを目印になりやすそうな場所に留まらせて、全速力で目的の店へと向かう。
『高杉さんお待たせしました!』
早数分。
目的の物を買った私は高杉さん元へ戻ってきた。
「早かったな」
高杉さんが振り向いて、
「ぶふっ」
大爆笑。
「お前っw似合ってるがw何だそのチョイスww」
はい。私は今、キュートな浴衣にキュートな髪留め、
そしてひょっとこのお面という出で立ちです。
にやけ顏防止の為に買ったわけだが、どうせなら高杉さんが笑ってくれそうな面白いやつを買おうということでこうなりました。
思った以上の高杉さんの反応につい私も調子に乗りだす。
『そんなに面白いです?コレ』
言いながら変なポーズを決めれば、高杉さんはお腹を抱えて笑い出す。
最早ヒーヒーと声も出せないようだ。
「お前ェもうこれ無し。ククッ、あぁおもしれェ」
高杉さんはひとしきり笑うと、私の面を上へとずらして呼吸を落ち着かせていた。
「よし。行くか」
そう言って再び私の手を引いて歩き出す。
時折思い出したように笑いながら。
しばらくプラプラと歩いて、
ぐぅ。
お腹すいたな。
『高杉さん、アレ食べたい』
私が指差したのはリンゴ飴。
「お前ェさっき飯食ったろ」
『はい。とってもおいしゅうございました!』
しかし、アレはアレ。コレはコレである。
リンゴ飴を見ながらヨダレを垂らす私を高杉さんは呆れたように見る。
「太るぞ」
…いいかよく聞け。
男はなぁ、ガリッとした女の子よりちょっとポチャってしてるコの方が好きなんだよォオ!
骨の温もりより肉の温もり。
そういうマシュマロふわふわボディが大好きなんだァアア!!(きっと)
…おっといけない。
取り乱した。
『じゃあこうしましょう!
私と高杉さん半分こで!これなら高杉さんも体裁を気にせずに甘いものが食べれるし、一石二鳥でしょ?』
私の提案に高杉さんは、ふむと頷いて、
「よし、行くぞ」
私を引っ張るように走り出した。
…高杉さん。
我慢してたんだね(笑)
途中でまた子ちゃんを見かけたが、また子ちゃんは射的屋の前で自慢の腕前を披露していて私達には気付いてくれなかった。
そして
店のおじさんが泣いていた(笑)