第21章 始業式HRまで闘いは続く
「…。」
『…。』
パラパラとページをめくる音。
カチカチと携帯を操作する音だけが鳴り響く。
「アンタ…」
『オネーさん…』
「『良い写真取るじゃない』」
その写真集には、私が撮り損ねた高杉さんの水着姿、気持ち良さそうに眠る高杉さん、胸元がはだけたそれはそれはセクシーな高杉さんがたくさん撮られていた。
私のデータも負けるつもりはないが、どれも良い写真ばかりだ。
さすが一眼レフ。
「…。」
『…。』
ガシッ
私達は無言で手を取り合った。
「ちょっと、このデータ私に頂戴よ」
『私この写真欲しい』
「この高杉様///」
『あ!それよく撮れてるでしょー!もう鼻血もんですよ!』
「あ、コレとか」
『そうそう!コレも…』
そして私達は二人して永遠と写真を見ながら高杉さんの魅力について語り合い、仲を深めたのでした。
そして、私がやっと布団に潜り込んだ頃にはもう日が昇り始めていた。
***
「…いつまで寝てんだクソガキ!」
『あべしっ!』
私は物凄い衝撃と軽い痛みで目が覚めた。
まだ重たい目を擦りながら上体を起こすと、
目の前には私から剥ぎ取ったらしい布団を抱えながら息を切らす高杉さんの姿。
『?高杉さん?そんなに息を切らしてどしたの?』
「お前ェはいつまで寝れば気がすむんだコラ。
お前ェがいくら寝たってお前ェの成長期はとっくに終わってんだよ」
『⁉︎ヒドい!高杉さん!!
私だってあと二年ぐらいはまだ成長の余地が…
てか、私そんなに寝て…?』
近くにあった携帯電話の電源を付け、その時刻を確認する。
ディスプレイに数字が浮き上がり、
只今のお時間は16時52分。
…なんだ16時52分か…。
…
16時52分⁉︎⁉︎
『ご飯食べ損ねたァアアアア!!!』
自覚した途端、ぐーぐーと盛大に腹の虫が鳴き喚く。
昨日の夕食全然たべれなかったからさすがにお腹が空いた…。
せっかくの美味しい料理を逃すなんてチサ一生の不覚っ!!
せめて、なんかオニギリだけでもないかな…
そう…丁度そんな三角の形に海苔が巻いてある…
…って、え⁉︎
目の前に差し出されているのは、丁度想像していたような大きな三角形のオニギリ。
「女将がわざわざお前ェの為に用意してくれたらしい。
後で礼でも言っとけ」