第21章 始業式HRまで闘いは続く
まさかこんな所で、しかもこんなに美人のオネーサンに壁ドンされるシチュエーションが来るなんて思ってなかった私は硬直する。
というか、
怖ェエエエ!!
何コレ⁉︎
こんなの私の知ってる壁ドンと違う!
壁ドンって男の子(イケメンに限る)が女の子にしてキュンキュンしちゃうやつでしょ⁉︎
女の子が一度はされてみたいランキング上位にランクインしてるやつでしょ⁉︎
こんなの全然きゅんとしねーよ!
目の前に鬼が居るんだよ⁉︎
こんなの誰もが一度もされたくないランキング上位に堂々のランクインするわ!!
私の頭がパニックになってる中も、おかみさんの毒は未だに続いている。
「だいたいなんなのよアンタ。ガキのくせに。こんな馬鹿そうな乳臭いチビ高杉様には似合わないわよ!身の程を知りなさい!」
(^ω^)…。
(^ω^♯)プチん。
何かが切れる音がした。
『さっきから人が黙ってりゃ好き放題言いおってからに』
ガシッと、私の顔の横にある女将さんの腕を掴む。
『誰がガキ臭い乳臭いチビだコラァ!!』
女将さんの腕を一捻りすると、女将さんはヒィと声を上擦らせてビクッと体を震わせる。
『それに何?《高杉様写真集》?何それw
あ、そのカメラ?そのお高〜いカメラをわざわざ高杉さんを撮るためだけに買ったの?もしかしてw』
一度入ってしまった私の毒舌スイッチはもう止まらない。
『うわぁww
いい歳したオバサンが高杉さんの事隠し撮りですか?w
イタイわぁw
誰かー絆創膏持ってきてー!人一人包み込めるくらいの大きいやつーw』
「なっ!何よ!この白髪チビガキ!!私の高杉様写真集を馬鹿にするな!高杉様のあんな写真やこんな写真が詰まってるのよ!!」
女将さんも負けてはいない。
どこからか分厚い冊子を取り出して自慢気にそれを私へと見せる。
『誰が白髪じゃボケ!これは白髪じゃなくてハクハツだ!ウサギさんヘアなめんな!!
私の高杉さんデータだってあられもない高杉さんの姿がいっぱいじゃコノヤロー!!』
私も負けじと自分の携帯を取り出す。
「いいだろう。どっちの高杉様写真がより優れているか勝負だ!!」
『望むところだコノヤロォオオオ!!』
私は女将さんの写真集を、女将さんは私の携帯を互いの手から奪い取り、お互いにそれを見やる。