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隻眼男と白兎

第21章 始業式HRまで闘いは続く


暖かい高杉さんの隣で私も心地良く眠りの世界へ誘われる…

わけもなく!
私の目はギンギンに開いたまま、意識もバリバリ覚醒したままだ。


いや、高杉さん。
今日の今日でいきなりこんな胸キュン展開に私付いて行けるわけないですよ⁉︎

コレいつ寝れるんだ私⁉︎
こんな状態で、こんなオイシイ状態で寝れるのか私ィイ⁉︎⁉︎

いや、ダメだ寝よう。

さぁチサ。目を瞑って、

ホラ、羊がいっぴーき、羊がにひき…

……

高杉さんが356匹ー、高杉さんが357匹ー…

アレ?高杉さん?


ダメだこりゃァアアアア!!


高杉さんの体温が、高杉さんの匂いが、
全身が高杉さんを感じ、睡魔などやってくる気配すら無い。
興奮でそりゃ鼻息も荒くなる。


あ!今なら隠し撮りし放題じゃね⁉︎


最早寝ることを諦め、携帯電話をカチカチといじっていると、


突如刺し殺されそうなほど凄まじい殺気を全身に感じて上体を起こした。

横で高杉さんが唸りながらもぞもぞしていたが、すぐにまた寝息が聞こえ始める。

良かった。起こしてはいないようだ。


私は上体だけ起こしながらキョロキョロと部屋を見渡すと、

少し開いた襖の向こうからギラギラした目が私を睨んでいた。


ヒィッ!お化け⁉︎⁉︎

瞬時に顔を背けた。


しかし、ここで確認しに行かなければ、私だけじゃなく高杉さんの身にも危険が及ぶかもしれない。


私はそっと布団から這い出て襖へと近づく。

相変わらず襖の奥の瞳は私をじっと睨んでいる。


お化けじゃありませんようにお化けじゃありませんように


高杉さんの時とはまた違う心臓の高鳴りを深呼吸で抑え、

勢いよく襖を開けた。




良かった。
人間だ。


そこにいたのは私を睨む、食事の時に高杉さんと話していた女将さんだった。

なぜかその手にはしっかりとカメラ、しかも一眼レフのお高いカメラが握られている。


『何の用ですか』

ヒソヒソと小声で話す。

「アンタちょっとこっちに来な」

ここでひと騒動起こせば高杉さんを起こしてしまうかもしれない。

私は素直について行く。


それにしてもなんだろうこの、女子生徒から体育館裏に呼び出されて今から集団ボッコにあう前の時のような雰囲気は。

まぁそんな場面に遭遇したこと一度たりともないんだけどねっ!
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