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隻眼男と白兎

第21章 始業式HRまで闘いは続く


そっと布団をめくると、高杉さんの寝顔が現れる。

その綺麗な顔に私の顔は思わず赤くなる。

でも、

もう逃げないって決めたから。


私は久し振りに高杉さんの横で歌を歌った。

今の気持ちを込めた、今の私にピッタリな歌。


『ふう。』

歌い終わって高杉さんを見ても、やっぱり高杉さんは相変わらず綺麗な寝顔のまま眠っていた。

『早寝遅起きなんて、高杉さんはおじいちゃんだなぁ』

思わずクスッと笑う。

『じゃあ、私行きますね。おやすみなさい』

そう言って高杉さんの頭をそっと撫で、部屋を出ようと立ち上がろうとして、

ぐいっ


気が付けば私は布団の上に仰向けになっていた。

アレ?なんかデジャブ?

じーっ

視線を感じてその方を向けば、

『誰がおじいちゃんだって?』

高杉さんが私の方に体を向けじーっと穴が空くほど見つめています。

『お、起きてたんですか!!』

「お前ェが部屋から入ってきた時からずっと起きてた』

(^ω^;)
寝たふりかよぅ!

逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。

『じゃあ!高杉さんは心ゆくまでおやすみなさって下さい!私は行きますので!』

やっぱ無理ィイイイイ!!

逃げないって決めたって一度好きと自覚してしまったから、これは心臓に悪いっ!

私がすかさず布団から飛び起きようとすると、

「ここにいろよ」

ぐいと腰に手を回され身動きが取れなくなる。

『た、高杉さん?』

「ここにいろ。
もう避けないんだろ?」

『あぅ』

そう言ってニヤリと笑う高杉さん。

私は首だけ回転させて高杉さんの方を見る。

『高杉さん、怒ってないですか?』

「もう許してやる」

『私付きまといますよ?どこまでも、いつまでもずっと付いて回りますよ?』

それでも良いと高杉さんはうなづく。

『私重い女ですからね!四六時中付きまとって、高杉さんがウザいって思ったってもう遅いですからね!』

「あァ、そんなもん今更だ」

高杉さんは苦笑する。
それにつられるように私も思わず笑みが溢れる。

私は体ごと高杉さんの方へと向き変え、向き合う形になる。
そして、そっと高杉さんのその温かい胸元へと顔を埋める。

『ありがとう高杉さん。
おやすみなさい』

「あァ」

高杉さんは私の頭を撫でながら、暫くすると穏やかな寝息が聞こえた。

私もそっと目を閉じる。



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