第21章 始業式HRまで闘いは続く
「自分の気持ちに正直になってもいいんスよ?」
私の頭を撫でながら優しく諭すまた子ちゃん。
また子ちゃんのその優しさについ涙が溢れてくる。
『私、今日高杉さんが女将さんと親しげに話しててなんか苦しかった!』
「うん」
『高杉さんの隣でご飯食べたいし、煙管も吸いたいし、笑っていたい!歩きたい!!』
「うんうん」
『私、…高杉さんの事好きだよぅ』
「よしよし。よく言えたっス」
不器用だし、何かやらかすとすぐに斬るだの殺すだの物騒な事を言うし、あんなナリして甘い物が好きな高杉さん。
でも、実はとっても仲間想いだし、結構笑うし、優しい高杉さん。
そんな高杉さんに一瞬で目が奪われて、
いつしか芽生えたこの感情もずっと知らないフリをしてきた。
でも。
そうか。
私は
高杉さんに恋をしてるんだ。
「チサ。例えその恋が叶わなくても、想ってるだけで罪にはならないんスよ」
『うわぁああん!!また子ちゃん!!大好きぃいいー!』
そして私は号泣した。
「やめろっス!そんな事言われたら…」
「うわぁああん!!」
そしてまた子ちゃんも号泣した。
二人でたくさん泣いて、それからたくさん笑って私達は風呂場を後にした。
『また子ちゃんのボンッキュッボンよこせー!!』
「チサ!さっきのシリアスが台無しっス!」
*****
また子ちゃんに諭され、自分の気持ちに気付いた、というか認めた私は今高杉さんの部屋へと向かっている。
(鬼兵隊幹部の人達は皆個室)
自分の気持ちに正直に…か
部屋の前へと立ち、大きく深呼吸して、
『高杉さん!………ごめんなさいっっ!!』
入るなりスライディング土下座をきめた。
『高杉さんの事避けてました!けど!もう避けません!付きまといます!ので!どうかこの馬鹿なチサめをお許しください!見捨てないでくださいぃいー!!
……って、アレ?』
言うだけ言ってやっと高杉さんからなんの反応もない事に気付いた。
そっと部屋を見渡すと、
『あ』
寝てる。
高杉さんは部屋の隅でもう布団を用意して寝てしまっていた。
私はなるべく物音をたてないように、高杉さんがもぐっているであろう布団のかたまりへと近寄る。