第21章 始業式HRまで闘いは続く
「チサ、どうしちゃったスか?なんか今日晋助様に対しておかしくないスか?」
食事を終えた私達は露天風呂を満喫している最中だ。
女の子だけの空間に、
する事なんて一つしかなく、
女子トークが始まろうとしていた。
ブクブクと湯水で遊びながら私はまた子ちゃんの問い掛けに答える。
『高杉さんを見てるとさ、なんか動悸がするし、体温上がるし…ホント病気か何かかなぁ…?』
うーんと悩む私をまた子ちゃんは呆れ顔で見て、
「チサ…それは多分…
…恋っスよ」
『⁉︎』
ブフォアッ
思わぬ返答に鼻から水を飲んでしまった。
『た、たた確かに私は高杉さんの事大好きだし、いつでも一緒にいたいし、私の携帯電話のメモリは高杉さんの写真で埋め尽くしたいと思ってるけど!
でもそれは高杉さんの事憧れ的な、上司としての好きなのであって、決して恋では…!
それに、また子ちゃんだって高杉さんの事好きなんでしょ?』
「うん。私も晋助様は大好きっス」
何ぃ⁉︎即答だとぉ⁉︎
思わず私の顔が熱くなる。
そんな私を笑いながらまた子ちゃんは続ける。
「でも私のコレは恋じゃないんス。
晋助様は、殺すしか能のない、行く宛のない私を救ってくれた。居場所を作ってくれた。
だからコレは恩人としての好き、好きよりも尊敬の念の方が強いんスよ」
『でも!それは私だって同じ…「いや、チサのは明らかに晋助様好き好きオーラ出てるもん」
うっ。
私そんなオーラいつも出してたの⁉︎
イタイ子じゃん!!←
「私はね、チサにだったら晋助様を任せてもいいと思ってるんスよ」
そう言ったまた子ちゃんの横顔はとても優しかった。
…でも。
『でも…私は高杉さんに恋なんかしちゃいけない』
ポツリと呟けば、どうして?とまた子ちゃんが首をかしげる。
『だって。
私は、いつか元の世界に帰らなきゃ行けないかもしれない…。
何のサヨナラも出来ないで突然消えちゃうかもしれない。
それなのに、高杉さんの事を好きになんかなっちゃったら悲しいだけ』
思わず言葉に力が入る。
そんな私をまた子ちゃんは優しく抱き締めた。
「私達はテロリストっス。
誰だって何が起こるかわからない。皆明日生きている保証なんてないっス。
突然いなくなるかもしれないのはチサだけじゃないんスよ?」