第21章 始業式HRまで闘いは続く
私が顔面蒼白で立ち竦んでいると、
ガシッと頭を掴まれて、
「さァて?どうしてやろうかこの悪ガキが」
物凄い怒りのオーラが振り向かなくても背中から伝わってくる。
あぁ。
死ぬ前にもう一度高杉さんデータの整理しときたかったな…
死を覚悟したその時、
「二人とも何してるスか」
「何してるでござる」
天の救い、
いや、
「うわぁ!壁こんなにして!!」
長いお説教タイムが始まりました。
その後、私はまた子ちゃんに、高杉さんは万斉に引きずられて食事の待つ大広間へと連行されましたとさ。
大広間には何とも豪勢な食事が並んでいる。
いつもなら真っ先に高杉さんの隣を確保する私だが、今日ばっかりはそれもしない。いや、出来なかった。
(と言っても席は高杉さんの二つ空けて隣を確保したが)
チラリと高杉さんの方を見ると、食事を運んで来てくれた女将さんと何やら親しげに話している。
「いつもすまねェな」
「いえいえ、こちらこそいつも贔屓にしてもらえて嬉しい限りです」
「それと…その…壁に刀刺しちまって悪かった」
「常連の高杉様ですから、あれくらいどうって事ないですよ」
なんでい!なんでぃ!!
高杉さんの変態!女ったらし!すけこまし!
お刺身パクリ。
あ、美味しい。
あんなにベタベタ触られちゃって!ここは遊郭でもキャバクラでもありません!
お豆腐パクリ。
あ、ふつう。
そんなに美人のお姉さんがいいなら高杉さんなんてもう知らない!!
ズキンッ
ん?ズキン?
アレ?何だろうコレ。胸が苦しいような?
アレ?何だか美味しい料理ばっかりなのに喉を通らない。
結局この日の夕食は、いつもならご飯をおかわりするところをしなかっただけでなく、料理もほとんど手をつけられずに終わった。
その後も何となく高杉さんと顔を合わせずらく、避けるようにしながら今日が終わろうとしていた。