• テキストサイズ

隻眼男と白兎

第20章 やべぇ!宿題やってねぇ!って気付くのはだいたい始業式前日


シャクシャクシャク

私は今高杉さんの隣で無言でかき氷を食べている。

「…」

『…』

………。

気まずいっ!!

何コレ!気まずいよ!
誰かお願い!誰か助けてー!喋ってー!
頼むー!300円あげるから!!

なかなか終わらない沈黙タイムに私がパニックになり始めた頃、突然どこからかビーチボールが足元に転がってきた。

かき氷を置き、それを拾い上げキョロキョロと辺りを見渡すと、

「すみませーん!そのボール僕らのですー!」

手をブンブンと振りながらこちらへやってくる見覚えのある顔。

………

馬鹿いたけどォ⁉︎


咄嗟に高杉さんの方を見れば、高杉さんも心底嫌そうな顔をしていた。


なんたって私達へと向かってきているのは、

馬鹿ゴリラにドS王子にマヨラー。

つまりは新選組。


どうしよう!どうしよう⁉︎
こんな時期にこんな場所で遊び呆けてる馬鹿どもいたけど⁉︎
これバレない⁉︎バレてない⁉︎

頭の中が完全にパニックに陥る中、三馬鹿はもう目の前まで来ている。

「いやぁ、すみません」

『ど、どうぞ!』

声を上ずらせながらボールを馬鹿ゴリラもとい近藤さんへと手渡す。

「ありがとうございます」

ボールを受け取り、チラリと近藤さんが私達を見て、

「あれ?あなた達どこかでお会いしたことありましたっけ?」

「『ギクッ』」

私と高杉さんの全身から冷や汗が出る。

『ひ、人違いじゃないですかぁ⁉︎』

私は顔を背けながら必死に平静を装う。

すると、後ろに控えていたドS王子もとい沖田くんがずいと近藤さんを押し退け私をジロジロと見て妖しげな笑みを浮かべた。

「フッ。近藤さんの目は誤魔化せても俺の目は欺けないぜィ?」

マズい。バレたか?

尋常でない冷や汗が私の顔を伝う。

「テメェらここの海一帯を縄張りにしてる族でさァ!」

…。

馬鹿で助かった!!


どうやらどこぞの族と勘違いしているらしい沖田くんに私は苦笑を浮かべる。

『ちがっムグッ!』

「そうだ。俺たちがここを仕切っている鬼海隊だ」

否定しようとした私の口にかき氷を無理矢理突っ込み黙らせた高杉さんは、飄々と嘘を言ってのけた。

私は無理矢理かき氷を飲み込み、高杉さんを引っ掴んで馬鹿三人に聞こえないようにヒソヒソと高杉さんに耳打ちした。

/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp