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隻眼男と白兎

第20章 やべぇ!宿題やってねぇ!って気付くのはだいたい始業式前日


実は、昨日の一件から高杉さんの顔がまともに見れない。

ふざけたり、誰かと一緒なら大丈夫なんだけど…

なんだか動悸が激しくなって、体温が急上昇する。

これってもしかして…

…恋?


いや、いやいやいや

ナイナイナイ。

高杉さんの事は憧れてるし大好きだけど、きっとそんな感情じゃない。


だって

私は高杉さんと恋なんか出来るはずない。

…しちゃいけない。


私はこの世界では、きっとイレギュラーな存在なんだから…


「ーさん、オネーサン」


だとしたら、うーん?

…病気?

ハッ!まさか更年期障害⁉︎
私もうそんな歳なの⁉︎

「オネーサン!!」

『はいっ!』

考え耽っていた私は、顔を覗き込まれて初めて自分が呼ばれていたことに気付いた。

頭を現実に引き戻すと、目の前には何やら数人の知らない男の人。

『…えっと、なんですか?』

恐る恐る問い掛けると、

「オネーサン今一人?俺らと遊ばねぇ?」

…ん?
私この人達と知り合いじゃないよな?

それなのに一緒に遊ぶ?ん?
おかしくね?

…ハッ!
これナンパか⁉︎ナンパってやつか⁉︎
私ここに来て人生初のナンパにあってるのか⁉︎

「ねぇ、暇でしょ?」

男の一人がニヤニヤと私の顔を覗き込む。

それに私はなんだか怖くなって後ずさる。

『え、遠慮します…』

「いいから!こっちおいでよ!」

そう言って腕を強く引っ張られる。

触られた瞬間、ゾワゾワと悪寒が身体中を駆け巡る。

身体がまるで凍りついたように動かない。


身動きの取れない身体。

無理矢理身体に触られる恐怖。

思い出す。

あの時の恐怖、混乱、嫌悪、恐怖、恐怖。

いやだ。気持ち悪い。

私に触らないで


『…高杉さんっ!!』

目をギュッと瞑り叫ぶ。


すると掴まれていた手は放され、暖かい体温が私を包んだ。

そっと目を開けると、私は高杉さんに抱きしめられていた。

高杉さんがナンパ男達をギロリと睨みつけると、まるで蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく。


「大丈夫か?」

言われて初めて今の状況に気付いた。

途端に恥ずかしさで身体中が熱を帯びていく。

『わぁああ!ごめんなさいっ!もう大丈夫れす!(かみまみた二回目)』

高杉さんの腕の中で暴れると、高杉さんはそっと私を離してくれた。
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