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隻眼男と白兎

第20章 やべぇ!宿題やってねぇ!って気付くのはだいたい始業式前日


海へと着けば、大勢の観光客に混ざって、既に準備万端の隊士さん達があちらこちらで海を満喫していた。

私とまた子ちゃんも波打ち際へと走る。

『んー!冷たくて気持ち良い!』

「今日暑いっスからね!丁度いいっス」


しばらくそのまま遊んでいると、

フラッ

「チサ⁉︎」

私は体がフラつき浅瀬に尻餅をついた。

『大丈夫、ちょっと暑さにやられたみたい』

「チサ見た目もやしっ子っスからね…あっちの日陰でちょっと休んでくると良いっスよ」

『そうするー』

海から出て日陰を目指して歩き出すと、後ろからまた子ちゃんの大きな声。

「知らない男に声かけられても着いてっちゃダメっスからね!」

また子ちゃんじゃあるまいし誰も私に声かけたりしないよ(^ω^;)
この21年間でナンパされた事ないの自慢だからねっ!(涙目)


無事に何事もなく日陰へと到着して座り込み一息付く。

ボーッとまた子ちゃんの方を見ると、

あ、また子ちゃんに数人のチャラ男グループが話しかけてる!
あ、また子ちゃんが見事な水鉄砲さばきでそいつら追っ払ってる!

また子ちゃんを見守るのに気を取られていた私は後ろから近付く手に気づかなくて、

「何やってんだお前ェ」

『ふぉあ⁉︎』

突然肩を叩かれてアホ丸出しの声を上げてしまった。

見上げた先には、

『た、高杉…さん?』

いつも着ている着物によく似た海パンに、いつもとは違う眼帯。
そしていつもと違う紫髪の長髪。

思わず見惚れてしまっていた。

高杉さんはどんな格好をしてもカッコよすぎる!

「お前ェ…」

そんな私に眉をひそめながら高杉さんの顔が近付いてくる。

「顔赤ェけど、大丈夫か?」

顔と顔の距離わずか30㎝。
高杉さんのひんやりとした掌が私の額に触れる。

顔の熱がさらに上がり、心臓が激しく高鳴る。

『ひゃ、ひゃいっ!ただの熱中症れふ!(かみまみた)』

激しく動揺する私を見て高杉さんは一言、

「…好きか?」

『へぇっ⁉︎』

「かき氷だ。かき氷は好きかって聞いてんだよ」

高杉さん…。先に主語を言ってくれ!
心臓に悪い!!

私はいまだバクバクとうるさい心臓をなだめながらブンブンと頭を縦に振る。

「何味だ?」

『い、イチゴ…かな?』

私がそう言うと高杉さんは、わかった、と言ってかき氷屋へと歩いていく。
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