第20章 やべぇ!宿題やってねぇ!って気付くのはだいたい始業式前日
「チサ?なんかやつれてないスか?」
ええ、はい。
あの後結局もう一本ホラーDVDを見ましたよ。
げっそりしたまま召集場所へと向かえば、まるで遠足前のようにウキウキした顔をした隊士達が全員集まっていて、その先頭には高杉さんの姿。
「お前ェら!今日は思う存分羽を伸ばしてこい」
珍しく意気揚々とした高杉さんの声に隊士達の士気も上がる。
外へ通じる扉が開かれると、皆一様に走り出した。
私もまた子ちゃんに急かされ外へと出る。
『うわあぁー!』
目の前に広がるのは、真っ青な海。
そんな景色を見送りながら到着したのはそこからすぐのとある大きなホテル。
「さてと!」
予約していたらしい部屋へと着くと、また子ちゃんは自分のカバンをガサガサと漁り、徐に服を脱ぎ始めた。
『⁉︎な!何してんの⁉︎』
「何って…着替えるんスよ?」
そう言って着替えたのは、また子ちゃんらしい、ショッキングピンク色のビキニ。
「ホラ、チサも早く着替えるっス!」
『いやいや、私水着なんか持ってきてないし!』
てか、そんなボンキュッボンなナイスバディの隣に並んで歩きたくないですし⁉︎
「そう言うと思って…」
また子ちゃんは再びカバンをガサガサと漁り、水着を取り出してニコニコと近づいてくる。
『ノォオオオオ!!』
そうして、半ば無理矢理着させられたのは、赤いビキニに、同じ色のフリルの付いたスカート。
仕上げに、ボスっと頭に黒髪のミディアムヘアーぐらいのウィッグを被せられる。
「ココ観光地っスから一応、ね。」
そう言って自分も茶髪のロングヘアーのウィッグを被って髪を適当に結う。
『観光地って…鬼兵隊がそんなとこで遊んで大丈夫なの?バレたりとか…』
「大丈夫大丈夫。鬼兵隊の中で顔バレしてるのって、私と武市先輩と万斉と晋助様くらいっスよ。
チサはよく江戸に遊びに行ってるみたいだから一応」
説明しながらもまた子ちゃんは着々と泳ぎに行く準備を整えていく。
「そもそもこんな夏休みも終わりの方にこんな観光地で遊んでる攘夷士師とか、ましてや警察なんて余程の馬鹿くらいっスよ」
いたずらっぽく笑うまた子ちゃん。
…それって鬼兵隊も馬鹿にしてるって気付いてる?w
まぁ、乗り掛かった船だ!
楽しんでやる!!
私達は海へと駆け出した。