第20章 やべぇ!宿題やってねぇ!って気付くのはだいたい始業式前日
『いやぁぁぁあ!もうヤダァアア!!
止めてください高杉さんンンン!』
「まだまだ続くぜ?オラ、よく見てろよ」
『もう許してェエエ!ヒィイイイ』
「ククッ。これからがイイ所だぜ?」
『これ以上はもう無理ィイイイ!』
…
「…お主ら何をやってるんだ?」
私と高杉さんの意味のわからない、捉えようによれば少し危ないかもしれない会話を聞きつけ、高杉さんの部屋に入ってきたのは呆れ顔の万斉さんだった。
なんとなく気配がして固く閉じていた目を開くと、
丁度超ホラーシーン。
『ぎにゃああああ!!』
そう。
私は高杉さんにお仕置きと称され、無理矢理大っっ嫌いなホラー映画を鑑賞させられているのだ。
「ックク!ブフッ」
私が悲鳴をあげるたびに高杉さんは何が面白いのかお腹を抱えて笑っていた。
こんなに笑う高杉さんなんて、普段なら鼻血もんの、盗撮用カメラのシャッター押しまくりなところだけども、
今の私にそんな余裕は全くない。
コッチゎ恐怖でショック死しそうなんだよ!!
「あァ、すまん。今コイツの仕置き中でよォ。
何か用か?」
高杉さんはひとしきり笑った後、いまだ呆れ顔の万斉さんに向き直る。
「まったく…。
晋助、例の手配が済んだ。間も無く到着するでござるよ」
「もうそんな時間か。…なら皆に準備するよう伝えておけ」
例の?
なんだろう?
恐怖に耳を塞ぎ、二人の会話を読唇術で聴き取った私の疑問を他所に万斉さんは一人部屋から去っていく。
私がキョトンと高杉さんへ首を傾げると、
「これから鬼兵隊で出掛けるから準備しとけ」
『!』
と、いうことは!
このホラー地獄からやっと解放されるということか⁉︎そうなんだな⁉︎
『わっかりましたぁ!!』
すかさず立ち上がり自室へ猛ダッシュを図ろうとして、
ガシッ
高杉さんに腕を掴まれた。
恐る恐る振り返ると、高杉さんは未だかつてないほど爽やかな笑顔で、
「あと一本DVD見てからな」
『ノォオオオオオ!!!!』
ホラー映画も超怖いけど、今はそれより何より高杉さんが怖いと思いました。
アレ?作文?