第20章 やべぇ!宿題やってねぇ!って気付くのはだいたい始業式前日
ー約束、破ってしまいましたね。
辺りは真っ暗。
目の前にボンヤリと浮かぶのは、最近見る事のなかった夢の中のアノ人。
『…約束って何?』
ー覚えていないなら、今はその方が良いでしょう。
初めて会話のキャッチボールが出来た事に私は驚いた。
しかし、そんな感動に浸る余裕もなくその人は足元から徐々に消えていく。
それと同時に、今まで抱いていた疑問が次から次へと口から溢れ出ていた。
『待って!!聞きたいことたくさんあるの!
力って何?アナタは誰?アナタはどうして私の夢の中に出てくるの?この世界に連れてきたのはアナタ?』
私の大量の質問攻めにその人は困ったように笑う。
そうこうしているうちにも、すでに腰から下は完全に消えている。
その人へと手を伸ばしても、一向に届かない。
ー今は、まだ。時期に全て解る日が来るはずです。
…次にその力を使う時は、憎しみでなく、誰かを護る為に使ってくださいねー
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ハッと目を覚ますと、
私の顔のすぐそばに高杉さんの綺麗な顔があった。
しかもじっと私を見つめている。
『な、なんで私の布団に高杉さんが⁉︎
夜這いですか⁉︎ロリコンですか⁉︎ついにロリコンに目覚めたあべしっ!!』
突然の事に私が慌てふためき、思わず鼻血が出そうになるのを我慢して良からぬことを口走っていると、高杉さんにガシッと頭を鷲掴みにされた。
「俺の布団だ馬鹿野郎が。
昨晩お前ェが寝るまでついてやった事もう忘れたのかこのクソガキ」
『あーっ!そうでしたそうでした!そう言えばそんな気がするようなしないようなしましたぁ!!
だからこの手を話してください!頭が!頭がパーンってなっちゃいますぅー!!』
私が痛みにうぉぉおと叫んでいると、高杉さんはうるせェとか言ってスッとその手を離した。
「さて、馬鹿も起きたし…始めるか」
いそいそと布団から起き上がり高杉さんは何やら身支度をする。
始めるって何を?
キョトンと高杉さんを見上げると、
「仕置きタイムだ」
高杉はそう言って、かつてないほどニヤリと怪しく笑った。