第19章 お家に帰るまでが任務
鬼兵隊を出てアジトへ到着した途端、待っていたのは敵の攻撃の嵐だった。
それを片っ端から片付けてガキのいるらしい牢屋に着けば、アイツは敵の手にかかってその白い肩が露わになっていた。
…ムカつく。
俺は沸き起こる不機嫌を隠そうともせずに、今さっき返り討ちにしてくたばっている敵を扉へとぶん投げてぶっ壊した。
「ソイツに触んじゃねェ」
そう言葉を発すると敵の手は止まり、ガキが驚いた顔でこっちを見た。
かと思えばすぐに今にも泣き出しそうな複雑な表情をしながら俺を見ていた。
俺がガキに近づこうとすると、
「動くな!こいつが大事ならそのまま武器を床に置け!」
『こんな奴らの言う事聞いちゃダメです!私のことは良いから!』
俺へと身を乗り出すガキを敵が頭から押さえつける。
激しく頭を打ち付けられガキの顔が苦痛に歪む。
俺は
チサが大事だ。
俺は武器を捨てた。
それを見てガキは激しく抵抗する。
『私なんかどうなってもいいです!高杉さんは目の前の奴らを倒す事だけ考えて下さい!』
まったく…
馬鹿のくせに一丁前に犠牲心出してんじゃねェよ。
はぁ、と俺はため息をつく。
「泣き虫のくせに何言ってやがる」
そんな泣いている顔で俺を見るな。
「ピーピー言わずに黙って待ってろ」
チサへと笑いかけると、敵は不愉快そうに笑いながら俺へと攻撃を指示する。
敵の拳や蹴りが俺の背中や腹へと降りかかる。
あァ、かっこ悪ィな。
俺は何も出来ずに、ただされるがまま殴られている。
こんな奴ら何時もなら簡単に殺してやるのに。
なんでだろうな?
殴られながら自嘲気に俺は笑う。
そんな俺を見ながらガキは必死に拘束を解こうともがくが、呆気なく天人に押さえつけられる。
それでも尚アイツはもがき、叫ぶ。
お前を助けるまで死んだりしねェ。
たとえ死んでもお前だけは助けてやる。
…なんて俺は何を考えているんだろうな。
殴られながらそんな事を悠長に思っていると、
ずっと叫び続けていたガキの声が突然止んだ。
チラリとガキを見ると、あまりのショックに意識を失ってしまったのかピクリとも動かない。
俺はそんなガキに手を伸ばそうとして、
『アァハハハハハハ』
突如ガキからけたたましい嗤い声が響き、
ムクリとアイツは顔を上げた。