第18章 浦島太郎とか理不尽すぎワロス
この物語にはまだ続きがあります。
江戸の町にひっそりと佇むスナック“竜宮城”。
最近出来たばかりのその店は、その店主の人柄の良さで密かな人気となっていました。
今日も今日とて、店には仕事終わりの警察が愚痴をこぼしに来ていました。
「女って奴はいったいどーしたら落とせるのか!」
想い人に振られまくっているばかな警察が店主に尋ねます。
「そうさねぇ。男なら余計な事は言わずに」
「綺麗だなぁ」
突然口を挟んできたのはつい先程この店へと足を踏み入れた一人の男。
「オラ、こんなに綺麗な人を見たのは二度目だよ」
男は尚も続けます。
「乙姫様。アンタ、昔と変わらず綺麗だなぁ」
店主は男へと笑顔を向けました。
歳をとってシワくちゃな、それはそれは綺麗な笑顔を。
そうして乙姫と浦島は再び再開を果たしたのでした。
めでたしめでたし
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今日は何やら機嫌が悪いらしい高杉さん。
そんな真っ黒なオーラをガンガンに放ちながら煙管を吸う高杉さんの隣で、今日も私はその一服に付き合っていた。
『何をそんなに荒れてるんですか?』
恐る恐る問いかけると、高杉さんは機嫌が悪そうに相槌を打ちながらも答えてくれる。
「こっち側に引き入れようと思ってた竜宮が墜ちたらしい。戦力になりそうだったのによォ」
悔しそうに眉根を潜める高杉さんの横顔を私はじっと見つめる。
「人の顔じっと見て何だよ?」
『いやね、高杉さんがお爺ちゃんになったら、きっとものっそい面倒くさくなるんだろうなぁって』
想像してクスリ笑みがこぼれる。
「はっ、ジジィになるまで生きてる保証なんざ俺にはねェよ」
そう言って何処か遠くの方を見つめる高杉さんの横顔が何だか寂しそうで、
『高杉さんは私がお爺ちゃんになるまで守ってみせます!!』
思わず叫んでしまっていた。
高杉さんは私の言葉に一瞬驚き、呆れ顔になり、そしてフッと優しく笑った。
「じゃあ、その時は責任持ってお前ェが介護するんだな」
ポンと頭に手を置かれ私の頬に思わず笑みが浮かぶ。
『望むところです』
私は変わらずに高杉さんの隣にいよう。
最後の日が来るその時までは
こうして笑って側に。