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隻眼男と白兎

第18章 浦島太郎とか理不尽すぎワロス


『乙姫ェ!!』

やっと最上階まで辿り着いたと思えば、突然の爆発と揺れ。
次々と天井やら柱やらが降ってくる。

それらをなんとか躱し、やがて揺れが治ると、瓦礫の中から銀さんと桂さんが出てくる。

『銀さん!桂さん!』

その姿に、思わず二人へと駆け寄り思い切り抱きつく。

「チサ//そんなに俺の事が心配だったのか?(照)」

『ぁあ良かった!イケメンに戻った!』

「え?心配してたとこそこ?」

だって私銀さんと桂さん大好きだもん!
主に顔がな!!


「銀さーん!桂さーん!」

少し遅れて部屋へと新八くんが皆を連れてやって来た。
皆もすっかり元の姿に戻っている。


「妾の敗因はお其方達老人を見くびったことか…」

声をした方を探すと、乙姫は鉄柱の下敷きになっていた。

「あの人の…貴女の待ち人のおかげなんです。貴女を救うように頼まれました」

乙姫に歩み寄りそう言った新八くんの言葉に乙姫は一瞬動揺し、やがて全て諦めたような顔をした。

「もう良い」

乙姫の上にのしかかる鉄柱を退かそうと四苦八苦する亀にそう言い放つ。

「兵達に報せよ。竜宮は間も無く崩壊する。城にいるものは全員避難させよ。もちろん其奴達も」

「しかし!姫が!」

「早く行け!」

乙姫を助けようと狼狽える亀に強く急かす。

「最早あの人と逢うことは叶わぬ。
何百何千もの時を一人で待つのは疲れた。
長い年月の果て、こんな穢れた心になってしまったが、しかし、最後の最後で其方達のおかげで一歩踏みとどまる事が出来た」

その時、再び船が激しく揺れ天井が次々と降ってくる。

「ありがとう」

弱々しく、でもハッキリと聴こえる声が瓦礫の下へと消えていく。


考えるより先に体が動いていた。

『…っ死なせるもんか!』

私は乙姫へと落ちてきた瓦礫を体いっぱいでなんとか受け止める。
チラリと横を見れば、銀さんも同じように瓦礫を受け止めていた。

『これまでずっと待ってたんでしょう?
あの人の心に惚れて、何千年もの時をずっと目を覚ますのを待っていられたんでしょう?
それなら、これからも生きることをあきらめないで!』

「生きて、シワくちゃな顔で笑って迎えてやれ!クソババアー!」


私たちにつられ、敵兵皆で乙姫を助け出す。


乙姫は泣いていた。

綺麗な涙を流して。

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