第18章 浦島太郎とか理不尽すぎワロス
いつの間にか気を失っていたらしい。
気がつけばどこか知らない場所にいた。
辺りをキョロキョロと見渡すと、天井に穴が空いているのが見える。
あ、落ちたのか私。
とりあえず皆と合流しようと歩き出す。
やっと長い廊下の突き当たりに着くと、その部屋は果てしなく長い長い螺旋階段が続いていた。
…いや。こんな所に皆がいるはずないな。
(こんな長い階段登りたくない…(本音))
引き返そうとして、
「待てぇ!貴様らァア!」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
咄嗟に声がする方を見ると、乙姫が背中に老人をくっつけながら猛スピードで階段を駆け上っている。
その先には、ミサイルのようなものを担ぐ新八くんと銀爺さんとヅラ爺さんの姿。
私ははぁ、とため息をついて、
全速力で駆け上がる。
『うぉぉおおお!』
乙姫の目前までたどり着き、
くらえ!ハイパーチサちゃんキックゥウ!
乙姫を蹴り飛ばす。
「チサさん!無事だったんですか!!」
『ヒロインたるもの老けてたら読者様がガッカリするでしょ!』
「は?」
何を言っているかよくわからないといった風に呆れながら私を見る新八くん。
そうこうしてるうちにも乙姫はむくりと起き上がろうとしている。
『ここは任せて早く上に!』
「気をつけてくださいね!」
新八君の声を背に私は起き上がった織姫と対峙する。
「お主何故老人になっていない!」
『ヒロインだからだ!』
「は?」
なんかデジャブ。
『アンタの野望もここまでだ!』
決まったぜ!
人生で一回は言ってみたいセリフベスト5に入るであろうこの名ゼリフ!
とはいえ、いくら巨大なオバサンであっても生身の一応女の人に暴力を振るうのは私のポリシーに反する。
とりあえず両手をいっぱいに広げて先へ行かせないようにするが、
「あ、あそこにジョニー○ップが!」
『え⁉︎どこどこ⁉︎』
イケメンどこ⁉︎
乙姫が指差した方を探すが、
『いないじゃん!』
振り返った時にはもう乙姫はだいぶ先まで階段を登っていた。
『くそう!騙したな!』
「騙された方が悪いわバァカ!」
クッソー!あのアマ!絶対にボコる!
もうポリシーなんかくそくらえだチクショウ!
私はもうじき最上階まで着く乙姫を追って全速力で駆け出した。