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隻眼男と白兎

第18章 浦島太郎とか理不尽すぎワロス


「星を救う最後の希望があの様な者達とは聞いて呆れるわ。心配せずともすぐに其方達の後を負わせてやるわ」


私達、今一生に一度のピンチです。

「一足先にあの世に逝くがよい」

抵抗できないように縄で縛られ、天井から吊るされている。
しかも、その下は鮫が泳ぎ回るプールときた。

泳げない私にとって今のこの状況は絶体絶命のピンチなのであって、オロオロと慌てふためく私。
それと裏腹に、お妙ちゃんは気丈に乙姫に食ってかかっている。

「ホント笑っちゃうぐらいブサイクな心」

「まだ言うか小娘!」

お妙ちゃんの言葉に怒った乙姫が、お妙ちゃんの顔をその大きな手で掴む。

「若くて美しいお主に何がわかる!永遠の時を一人老いさらばえていく女の気持ちが!何千年もの時を死ねない妾の気持ちが!!」

『…誰だっていつかは老いていくよ』

気付けば私はポツリと呟いていた。

乙姫が私を鋭い目つきで見やる。

『永遠の若さなんてものはこの世にはない。どんなに可愛くたってイケメンだってしわしわの老人になっていくんだよ』

私だって、あの超絶イケメン高杉さんだっていつかは歳をとる。

あ、なんか想像したら悲しくなってきたぞ。


でも…

『歳をとるのが怖くない人なんかきっといない。
それでも、真っ直ぐに生き抜いて、いつかしわくちゃになりながら良い人生だったって言えるように人は生きていくんだよ』

ちらりとお妙ちゃんを見ると、優しく微笑んでくれていた。

「そうね。
例えしわしわになったって、変わらない何かがあると思いたいじゃない?この身が滅んでも、何年年月が経っても滅びない何かがあると信じたいじゃない?

私たちはシワだらけになったって貴女には負けない。
本当に美しいものが何か知っているから」

お妙ちゃんが真っ直ぐに乙姫を見て言う。
すると、乙姫はお妙ちゃんを掴んでいた手を離し、

「本当に美しいものは滅びぬ、と。
面白い。ならば…」

乙姫が合図を送り、

「見せてみよ、お前たちの言う美しさというものを!
私とお前たち、勝った者が真に美しき者だ!!」

私達はプールへと真っ逆さまに落ちていった。
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