• テキストサイズ

隻眼男と白兎

第17章 雨の日に100%傘を置き忘れる自分は馬鹿


インディペンデンスデーイ♪


江戸別を出て鬼兵隊へ帰ってきた私は上機嫌で歌を歌っていた。

「やけに機嫌が良さそうじゃねーか」

背後から突然聞こえた声に顔を向ければ、いつの間にやって来たのか高杉さんが部屋の入り口にもたれかかっている。

『高杉さん!』

私が歌を止め駆け寄ろうとすると、

「そのまま歌ってろ」

と私を制し、足早に自分の部屋へと消えていった。

疑問に思いながらも言われた通り歌を再開させる。

数分で戻ってきた高杉さんの手には三味線が握られていた。

私の前に座り、心地の良い音を奏でる。

そのメロディは私が今歌っている音を紡ぎ出していた。

『高杉さん、なんでその曲…』

「最近何十、何百と聴かされてるからな。覚えちまった」

ホラ、続けろ。と促され、私は嬉しくなって歌い続ける。

歌と三味線の音色が合わさり、普段一人で歌うより断然気持ちが良かった。



昨日も過去も水に流れて

涙も後悔も洗い流して

止まない雨はないって明日に希望託すのやめた

ずぶ濡れだって走っていけるよ

今日も土砂降り

インディペンデンスデイ

捨てたもんじゃない

雨と一緒に笑顔もつれて傘をさすんだ



歌が終わり、三味線も二、三音を奏でて締めくくる。


「フン、ちったぁマシな歌になったじゃねーかよ」

そう言って笑った高杉さんは満足気で、私も思わず笑みが溢れる。

『また一緒に演奏しましょーね!』

「あァ」


やっぱりインディペンデンスデイ、


捨てたもんじゃないね。




/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp