第17章 雨の日に100%傘を置き忘れる自分は馬鹿
「帰ったぞー」
「ぉ、おじゃましま〜す」
ガラガラと玄関を開ける銀さんの後ろに隠れるようについていく私。
居間へと着くと、見覚えのある二人がソファーに座っていた。
「もー遅いですよ銀さん。またパチンコでも行ってきたんじゃないでしょうね?」
「人の給料払わないでパチンコ行くような男はカスだってマミー行ってたアルよ」
二人が同時に振り向いて、一人は換気の声、一人は訝しげな目を向ける。
どうしていいか苦笑を浮かべるしかない私に銀さんが適当にタオルを投げて寄越した。
「まぁ適当に座れや」
とりあえず神楽ちゃんの隣に座るものの、目の前からは不信感丸出しの視線。
超気まずぃー(^ω^;)
「この人って…鬼兵隊の人ですよね?」
ヒソヒソと銀さんに耳打ちするが、聴こえているぞメガネくん。
どうやら私は新八くんには歓迎されていないようだ。
まったく、人を職業で判断しちゃいけません!ってお母さんに習わなかったのかしら⁉︎
「まったく、人を職業で判断しちゃいけません!って習わなかったのかお前ェは?」
わぁお、銀さん同意見。
「習わねぇよ!!」
吼える新八くんに、
「だからお前ェは眼鏡なんだよ」
「そうネ、頭固いアルな。だから新八はいつまで経っても新一になれないアルよ」
やれやれと首を振る二人。
「お前ら全国の新八と眼鏡に謝れェエエ!」
「いいか、ぱっつぁんよォ。こいつをよく見てみろ。このチビでアホでバカそうなやつに何か出来そうか?
どーみても人畜無害。せいぜい鬼兵隊のお茶出しぐらいだろ?」
『その通りだけどォオ!アホとバカは余計だァアア!』
銀さんが片手で私の頭を鷲掴みにし、前に進めない私はそのままブンブンと両腕を振る。
「…だいたい、神楽がこんだけ懐いてんだ。大丈夫だろ」
銀さんがこそっと新八くんに耳打ちする。
すると、新八くんは少し悩むような仕草をしてから、
「…そうですね。すみません、チサさん」
突然新八くんに名前を呼ばれ畏まる。
「何も知らないくせにさっきはすみません。志村新八です」
『あ、こちらこそ…新 チサです!』
新八くんに握手を求められそれを返すと、銀さんと神楽ちゃんが満足そうに微笑んでいた。