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隻眼男と白兎

第17章 雨の日に100%傘を置き忘れる自分は馬鹿


万斉さんに許可をもらった後すぐに江戸に降り立った私は、今色とりどりの傘が立ち並ぶお店に来ていた。

『オジさん!これください!』

商品の前で数十分悩んだ挙句にやっと決めた一品をレジへと持っていく。

「はいよー!お嬢ちゃん可愛いからちょいとサービスしてあげるよ!」

そうして会計を済ませた私は、少し割引してもらった買ったばかりの赤い桜模様の傘をさして歩き出す。


せっかく江戸まで来たんだし、お金もたくさん余っちゃったから万斉さんにお土産でも買って帰ろうかな。


そう思って再び商店街へと向かう。


数分が経って、万斉さんへのお土産も買い終えた私は帰路へとついている。


インディペンデンスデーイ♪


片手に買い物袋、片手に傘をさして上機嫌で口ずさみながら歩いていると、一人で雨宿りをしている小さな女の子が目に入った。

その女の子は寒そうに両腕を抱きながら不安気な顔で空を見上げていた。

『お嬢ちゃん傘ないの?』

私が女の子に近づいて問うと、女の子は黙って首を縦に振る。

『そっか…じゃあ、私の傘あげるよ』

そう言って持っていた傘を差し出すと、女の子は困ったように手を伸ばし、

「…いいの?」

と言って首を傾げる。

『うん』

と笑えば、女の子は嬉しそうに笑って、

「ありがとーおねーちゃん!」

そう言って走っていった後ろ姿を手を振りながら見送る。


いやぁ、良いことした後ってのは気持ちがいいねぇ!


ザーッ…

って、よくなーい!!


土砂降りの雨に身体中が濡らされていく。

雨が洋服に纏わり付いてなんとも気持ち悪い感覚だ。


あー、万斉さんにお土産も買っちゃってもうお金ないし、どーしよー。
傘買いに来たのに本末転倒だよー私のアホー。

ここはアレだ、ト◯ロが使ってるでっかい葉っぱを傘にして帰るしかないか…


一人道の真ん中で立ち止まり考え込んでいると、突然雨が遮られた。

否、傘が差し出された。

「よぉ、ネーちゃん傘貸すぜ?」

その声に顔を上げると、

『あ!銀さん』

「そんなに濡れてちゃ風邪引くぞ。まぁ俺ん家にでも来いや」

そうして私は銀さんに促されるままに銀さんの家まで案内される事となった。


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