第16章 深夜のホラー映画のCMほど怖いものはない
『ホラ、高杉さん一応まだ病人なんだからちゃんと寝てなきゃダメですよ!』
私は超調子に乗った天人さんを蹴り飛ばした後、高杉さんを引っ張って高杉さんの部屋に来ていた。
俺は大丈夫とかほざく高杉さんを無理矢理寝かしつける。
「ったく、お前ェらはどいつもこいつも大袈裟なんだよ」
まぁ確かに?
幽霊かと思って大広間でドンチャンした挙句正体はただの蚊でしたけど?
前日にちょうど怖いCM見て幽霊だと思い込んだのは私ですけど?
あれ?
コレ事の発端は私じゃね?
シュンと俯くと、高杉さんの温かい手が私の頬に伸びる。
そして、
思いっきり抓られた。
「そんなシケたツラしてんじゃねー。まァ俺はそんな酔狂な奴ら嫌いじゃねーよ」
なんて言って微笑むもんだから、当然のことながら何時ものように鼻血が爆発しそうな私だが…
痛いイタイ!
ほっぺ!引きちぎれるから!
ジタバタとその手から逃れようとして、
「クッ、アホ面」
なんて笑われて手を離された。
誰のせいでそんな顔になったと思ってんだこのヤロー(^ω^♯)
でもチキンな私はそんな事思っても口にはださない(^ω^;)
それにしてもさっきから高杉さんはよく笑う。
もしかして眠いのかな?←
なんて思った私は
『じゃあ私行きますけど、ちゃんと寝なきゃダメですからね!』
そう言って立ち上がろうとして、ぎゅっと手を掴まれた。
…なんだこの手は?
手をギュッて?
手どころか乙女心までギュッと掴まれたわァアア!
「お前ェの怖がりが移っちまったらしい。
今日はここで寝ろ」
なんて子安ボイスで囁かれたら、
『ハイ!喜んでー!!』
で即ダイブっすよ。いやマジで。
黙って高杉さんの暖かい腕の中に包まれていれば、なんだか私まで眠くなってくる。
「俺は後ろは省みねェ。ただ真っ直ぐ進む」
そんな中、ポツリと高杉さんが話し出す。
「だが、毎日後悔だらけで生きてきた。
もし、俺が死ぬようなことがあったら、
真っ先にお前ェの所に化けて出てやるよ」
なんで私⁉︎
なんて思ったが、あまりに眠くて声が出せない。
ぁあ、眠い。
瞼が重い。
そっと目を閉じて。
「…きっと俺にとって今逢いたいヤツはお前ェだからな」
そんな言葉を聞ける事なく私は深い眠りへと落ちていった。