• テキストサイズ

隻眼男と白兎

第16章 深夜のホラー映画のCMほど怖いものはない


トイレへ行った人達叫び声を聴き、大広間にいる私たちの空気は一気に張り詰める。

それぞれが配置へつき、臨戦態勢をとる。

そして、

コンコン

誰かがこの部屋の襖をノックしている。


襖の前にいる万斉さんが皆へ向かって頷き、勢いよく襖を開けた。

その途端あの耳障りな虫の羽音のような音が聞こえ、灯りが消され部屋中真っ暗闇に包まれた。

「襖を閉めろ!奴を逃がすな!!」

突然の暗闇で皆が混乱する中万斉さんが叫び、近くにいた誰かによって襖が閉められる音が聞こえた。


「きゃあっ」

混乱して部屋中を駆け回る足音がたくさん聞こえる中、また子ちゃんがすぐ側で悲鳴をあげる。

『また子ちゃん⁉︎大丈夫⁉︎また子ちゃん‼︎』



返事はない。ただの屍のようだ。


くそぅ。高杉さんだけでなくまた子ちゃんまでやられてしまうとは…

許すまじ!!


そして次々に何人かの叫び声もそれに続き、数分後には何十といた隊士があっという間に、私、万斉さん、武市先輩、他四人のモブキャラ、計7人にまで減ってしまっていた。


やっと暗闇に目が慣れてきた生き残っている私たちはお互い背中合わせに刀を構える。

ブンブンと羽音が部屋中を駆け巡る中、不意に音がすぐ後ろで聴こえ、止んだ。

「こんばんわぁ〜」

「「『うわぁーー!!』」」

奴は私たちの背後の中央にいたのだ。


同時に叫び隊列を崩して散らばる。

そして私はちょうど近くにいる武市先輩にしがみつかれた。

むにゅ

武市先輩の手が私の微乳、おっと間違えた。美乳に触れている。

しかし当の本人はガタガタと震え、それに気付いていない模様。

『ちょっ!何処触ってんですか⁉︎』

「へ?…はっ!失礼!!あまりに断崖絶壁で『誰の胸が断崖絶壁かァアアア!!』

ホント失礼だよ⁉︎

全国の胸に自信がない皆さんご安心下さい。

貧乳はステータスだァアアア!!


武市先輩の腕を引き寄せ、

そのまま背負い投げをキメる。

「ぐふっ」「うげっ」

投げ飛ばされた武市先輩と何か人のようなものがぶつかった音がした。


かと思えば、いつの間にかあの耳障りな音は止み、突然部屋の灯りがついた。

/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp