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隻眼男と白兎

第16章 深夜のホラー映画のCMほど怖いものはない


時刻は午前0時。

私達鬼兵隊は今、無事な隊士全員をこの大広間に集めて籠城作戦実行中だ。

「こんなんで奴さん来るんスかねー」

「今この艦内で被害に遭ってないのはここの人間だけだ。敵の狙いが鬼兵隊の全滅なのであればここへ来ざるを得ないでござろう」

万斉さんの作戦はこうだ。

とりあえずみんなを一箇所に集めて、奴さんが何も知らずに来たところを袋叩き作戦☆


…ぶっちゃけ成功するとは思えない。

だってだって幽霊って実態ないんでしょ?刀で切れないでしょ?

この中の誰かの手に鬼でも宿らせて悪霊退散!するぐらいやらなきゃ無理じゃね⁉︎

うおぉお!
誰かの手に鬼の手宿れー!!
それか霊能力に目覚めろー!!
頼むー!300円あげるからぁアア!!
(私は怖いからイヤ)


それからしばらく緊迫した空気が張り詰める中、とうとう耐えきれなくなった私は、

『ねぇまた子ちゃん』

「ん?どうしたスか?」

そしてサッと懐から取り出したるは、

『UNOしようぜ☆』

「はぁ?」

返ってきたのはまた子ちゃんの呆れた声。


だってだってこの空気嫌なんだもん!
ただ待ってるの怖いんだもん!
ホラー映画のいつ来るかわからないホラーシーン並みに怖いんだもん!

知ってるか?私はお化けの類が超怖ェんだぞォオオオ!


心の内で恐怖を叫んでいると、武市先輩に肩を叩かれ、

「まったく…空気読んで下さい。
UNOやりましょう」

私の目の前に座る。


あ、武市先輩も怖いのダメな人だったね。


すると緊張が解れたのか数人の隊士さんが加わる。


そして私たちはしばらくの間各々の時間を過ごした。



どれぐらいの時間が経ったか。


「俺、トイレに行ってきていいすか?」

一人の隊士が手を挙げるとつられたように俺も俺もと手を挙げトイレへと向かう。


「にしても来ないっスねー。あ、スキップ」

「まぁまだ夜は長いでござるよ。あ、ドローフォー」

いつの間にかUNO集団に加わっているまた子ちゃんが呟き、これまたいつのまにか加わっている万斉さんが答える。

『恐れをなして消えたんじゃないの?あ、ウノォオオオ!』

私が叫んだ瞬間。


「ぎやぁあああ」

廊下の向こうから叫び声が上がった。
多分トイレ勢のものだろう。


私が死の呪文を唱えたのでなければ、

敵が現れたということだ。

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