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隻眼男と白兎

第16章 深夜のホラー映画のCMほど怖いものはない


『……ってことがあったんさ』

「オイ、クソガキ。最後の件意味わかんねェよ」


私は今朝食を食べながら、今日体験したばかりの恐怖体験を広めているところだ。

「幽霊なんているワケないじゃないっスか〜。
チサのストーカーか何かじゃないスか?w」

また子ちゃんは意外にも幽霊は信じていない質らしい。
私の話を馬鹿にした風に受け流す。

「そうですよ。ゆ、ゆゆゆゆうれいなんている訳がな、ないですよ!!
ところでチサさん!厠までご一緒しませんか?」

「何言ってんだこの変態がぁァァ!!」

平静を装いきれていない変態、もとい武市変態がまた子ちゃんに見事なドロップキックをかまされている。

また子ちゃんそのまま固め技に持ち込み、

決まったーーー!!
キン肉バスターだーーー!

そもそもキン肉バスターとは、キン肉◯ンに登場する必殺技(Wikipedia抜粋)ですが、
これは見事なキン肉バスターですね。

ええ。これほどまでに完璧な使い手を漫画以外で見た事がありませんよ。


なんて1人プロレス実況ごっこをしていたら、突然肩を叩かれた。
顔を向けると、遅れて朝食を食べに来たらしい呆れ顔の万斉さんがいた。

「何やってるでござるか?」

『ん?一人実況ごっこw』


万斉さんはイタイ子を見るような視線を私に送りながら隣の空いている席へと腰をかける。


「少し前から話は聞いていたが、その話は本当か?」

「万斉ってば幽霊なんか信じてるんスか?ププッ」

「うるさいでござる猪女」

また子ちゃんが茶化すが見事に一蹴されていた。


「最近隊士の数人が突然倒れる事件が密かに増加していてな。倒れたやつは皆一様に赤い着物を着た女とうなされているでござる」

「そんな事知らなかったっスよ?」

「混乱を招かぬよう内密にしていたからな。一部の者にしかしらぬ」

ここに来てやっと事の重大さを知ったまた子ちゃんが青ざめる。

武市先輩なんて失神寸前だ。

「くまなく艦内を探してみたがそのような女どこにもいなくてな。これはいよいよ幽霊を認めざるを得ないかもしれないでござる」

皆が青ざめる中、高杉さんがいきなり立ち上がる。

「ハッ!馬鹿馬鹿しい。幽霊だろうが変質者だろうが、まとめてたたっ切ってやるよ」

そう言って高杉さんは不機嫌なまま食器を下げ食堂を出て行ってしまった。
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