第16章 深夜のホラー映画のCMほど怖いものはない
やっと眠れた私は夢を見ていた。
あはははは
うふふふふ
「捕まえてご覧なさーい」
ブウゥウウン
『待ってよ高杉さーん』
きゃっきゃっうふふ
ブウウン
ブウゥウウン
……
『ブンブンうるせっっ!!』
虫の羽音のような耳障りな音で目を覚ましてしまった。
せっかく波打ち際で高杉さんと追いかけっこってゆーベタなワンシーンのようないい夢見てたのに!
眠る前怖くて布団を頭まで被っていたから、眠い目を擦りながら隙間から部屋を覗く。
辺りは何も見えないほど真っ暗闇に包まれている。
ということはまだ眠ってからそんなに時間は経っていないようだ。
…何時だろう?
そう思い枕元にある時計を確認しようと身体を動かすが、
ん?何だか体が重いような…。
てか、なんか上に乗ってる?
恐る恐る布団から頭を出し確認する。
次の瞬間、身体中が凍りついた。
私の上に乗っている長い髪をダランと垂らした女と目があったのだ。
『⁉︎⁉︎⁉︎』
慌ててソレを蹴飛ばし枕元にあるランプへと手を伸ばし付ける。
部屋中を見渡すがもう先ほどの気配は感じられない。
だが蹴った時の感触は確かに私の右足に残っている。
ソレは寝ぼけて見た幻覚などではなく、
本当に居たのだ。
とりあえず怖いから部屋の電気をつける。
今から誰かの部屋に行こうか…
いやでも大見得を切ってしまった手前高杉さんとまた子ちゃんの所には行けない。
万斉さんは睡眠邪魔したら怒るし、
武市先輩は変態だし…
そもそもまた暗い廊下を歩く事も怖い。
考えを巡らせながら枕を抱いて部屋中をうろうろ。
うろうろうろうろ。
…よし!気晴らしに高杉さんの隠し撮りデータの整理をしよう!
高杉さんを見ていれば百人力だもんね!←
そう思い部屋の隅っこで自作の高杉さんアルバム開きながら布団を被る。
ぁあ、麗しき高杉さん。
欠伸をしている高杉さん。
甘いものを頬張ってる高杉さん。
あ、次のは最高の隠し撮りショット!
高杉さんの着替え姿ー!!ハァハァ
逆に興奮して眠れなくなりました☆