第16章 深夜のホラー映画のCMほど怖いものはない
「いやぁ〜今日もリ◯ァイ様ゎ最高だったッスねー」
時刻は午前2時。
私は今また子ちゃんの部屋にて一緒に進◯の巨人を鑑賞していた。
雰囲気作りに明かりを消していた部屋にエンディングが流れている。
来週の予告も終わり部屋に戻ろうと立ち上がった瞬間。
突然テレビの画面が暗くなる。
何事かと画面を凝視していると、
急に青白い顔がぬっと画面いっぱいに広がって、
『ヒッ………!』
そこでパチっと部屋の灯りがまた子ちゃんによってつけられた。
どうやらホラー映画のCMだったようだ。
暗い画面に《呪◯ ◯月◯日ロードショウ》と文字が浮かび上がっている。
「深夜にやるホラー映画のCMってホント怖いッスよねー。
…ってチサ?」
また子ちゃん視線の先には、震えながら座布団を被る私。
また子ちゃんの視線に気付いて私はサッと立ち上がる。
『いやぁ、頭が寒くてね!
じゃあ私は自室にでも帰ろうかな』
そう言いながら襖に手をかけ、ピタと立ち止まる。
「…もしかして怖いんスか?
案外チサってばお子ちゃまっスねw
なんなら今日はここで寝たっていいっスよ?w」
『こ、怖くなんかねーしィイ!!また子ちゃんが怖くて寝れないんじゃないかなって思っただけだしィ!』
そしてバンッと勇ましく襖を開け、私はまた子ちゃんの部屋から飛び出した。
……とは言ったものの。
私の部屋へと続く長い廊下は静寂と闇に包まれている。
何時もならどうって事もないこの歩き慣れた道が今日はどこか薄気味悪く見える。
まったく、ホラーCMやるならやる前に今からやりますよ!って言って欲しいわ!!
八つ当たり気味にCM会社に内心で文句を言っていると、
コツ、コツ
突如後ろから聞こえた足音。
誰かが厠にでも向かっているのだろうか。
いや、でもこちら側に厠はない。
…こんな時間に、誰?
全身が強張り歩みが止まる。
そんな私に容赦なく近づいてくる足音。
それはもう私のすぐ其処まで来ている。
恐る恐る振り返ろうとしたその時、
突然肩を掴まれて、
『うぇっふぇぇい!!!』
反射的に飛び上がり、腰が抜けて床に尻餅をつく私。
「お前ェ…女としてその叫び声はどうなんだ?」
見上げた先には呆れ顔の高杉さんが立っていた。