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隻眼男と白兎

第15章 病院ではお静かに


…あれ?この声、レッツパーリィの人じゃない。

てか…麗しの子安ボイス…?
てかよく見れば、服装や髪型はちがうけど、眼帯や顔は…

『た、高す「声がデケェ!」

私の口を抑えてくるレッツパーリィの人、もとい高杉さん。

私を見下ろす高杉さんの顔は怒っている。
でも私は、

『うわーん!』

高杉さんに抱きついた。

「ッチ、なんだよ」

悪態をつきながらも私の頭をポンポンと撫でる高杉さん。

『私見捨てられたのかと思ったよー!』

ぐりぐりと頭を高杉さんの胸板に押し付ける。
こうでもしないと本当に泣いてしまいそうだった。

呆れたように高杉さんは溜息をつく。

「…ったく、お前ェは本当にガキだな。
お前ェがいなかったら誰が俺にデザート作るんだよ?
…ホラ、行くぞ」

そう言って手を私へと差し伸べた。

…手?この手をどうしたらいいの?
まさかあの高杉さんが手を繋いでくれるわけなかろう。
そんな事考えるだけでもおこがましいわっ!

私が高杉さんの手を前に首を傾げていると、高杉さんが私の手をとって握った。

「褒美だ。ガキは大人しく大人に繋がれとけ!」


見上げた顔は真っ赤で。

私は気づかれないようにクスッと笑った。


『行きましょ!高杉さん!』

繋がれた手をブンブンと振れば、高杉さんは煩わしそうに、でも愉快そうに笑っていた。

「ククッ、本当にガキかてめェは」



****


『そういえばなんでそんな格好をしてるんですか?』

私のお迎えのために江戸に来ていた鬼兵隊の艦体が見えたところで高杉さんに疑問を投げかけた。

「万斉にやられた。変装だとよ」

私は納得いかずにふーんと相槌をうち、

『いい大人がコスプレですか。ププッw』

さっき散々ガキだと馬鹿にした腹いせに呟いたら、ブチンと何かが切れたような音がして、

殴られました☆



…痛いけど、私の大好きな日々が戻って来たのを改めて実感した。



船への橋を渡り中へ入れば、

「チサ!おかえり!!」

真っ先に飛びついてきたのはまた子ちゃん。

「お帰りチサ」

「おかえなさいチサさん!」

万斉さんや武市先輩、鬼兵隊隊士の皆が笑顔で出迎えてくれた。



…やっぱり、私の居場所は此処しかないよ桂さん。



私は皆に満面の笑顔を返す。





『ただいま!』


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