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隻眼男と白兎

第15章 病院ではお静かに


二人がぶつかり合ってゴタゴタしているうちに私は逃げ出そうと駆け出す。


「っそ!!そっち行ったぞ総悟!!」

私の向かう方向の曲がり角から出て来たのは沖田さん。

「大人しくお縄につきなせぇ」

そう言って沖田さんは刀を抜いて構えた。

『おまっ!真剣なんか私死んじゃうでしょ⁉︎』

「大丈夫でさァ。ここは病院。ちょっとぐらい瀕死の状態になったってなんとかなりやす」

そう言って沖田さんは黒い笑みを浮かべる。


この子怖えェエエ!!!


後ろには鬼の副長(+馬鹿ヅラ)、前にはドS。
どっちに行っても地獄が待っている。

なら…

私は護身用の小刀を抜いて、沖田さんが振り下ろした刀を受け流す。
よろめいた隙をついて、うなじにチョップ!!!

「ぐっ!」

沖田さんがそのまま前のめりに倒れ、私はそのまま全速力で逃げる。

沖田さんが出てきた角を曲がり階段を駆け上り、そのまま奥の病室に駆け込む。

なんとか撒けたみたいだ。


そのまましばらく隠れて呼吸を落ち着かせる。

数分間そうしてやっと体力も回復してきた。

病室の扉に耳を押し付けて耳を済ませる。

足音も人の声もしない。


…このまま隠れてれば大丈夫なんじゃないか?


私はいそいそと、入り口から死角になっているベッドの陰に座り込む。

そのまま体育座りをしながら神経を集中させること数分。


………眠い。

そういえば、昨日は漫画の続きが気になって、ろくに寝てないんだった。

意識が朦朧とする。

寝ちゃダメだ寝ちゃダメだ寝ちゃダ…

……



zzz…



………ハッ!


どのぐらい寝ていたのか突如野生の勘で目を覚ました。

耳をすませると遠くの方からコツコツと足音が聴こえる。

それはどんどんこちらへ近づいてきて、

ガラリ

私がいる病室の扉が開いた。


マズイ。誰だ?
どうか土方さんでも沖田さんでもありませんように!

しかし、全神経を集中させると、
すん、と煙草の香りがした。

土方さんだ。


足音はしない。
土方さんはどうやら扉の前でこの部屋を見渡しているらしい。

そして、
コツコツと私の隠れるベッドの方へ足音が近づいてきた。


見つかる!!!


「土方さん!ちょいとコッチへ来てくだせぇ」

少し離れた場所から沖田さんの声が響いた。

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