第3章 夢じゃないし夢じゃなかった!
真っ暗。
その先に灰色の男の人がいる。
さっきも見た、表紙の人。
私はこの人を知ってる。
でもなぜだろう。
思い出せない。
男の人は私に優しそうに微笑みかける。
ー私はこれからどうしたらいい?
問うと
男の人は少し困ったような顔をして笑った。
男の人が薄く霞んでいく。
ー待って!
私が手を伸ばす時には男の人は消えていた。
代わりに
「オイ」
振り返ると
隻眼の男の人が立っていた。
*****
そこで私は目が覚めた。
感覚的に私は布団のような物に横たわっているのだろう。
戦ってあの後、私倒れたのか…
そこでやっと頭が覚醒する。
見渡すと和風作りの天井に
私を覗き見る
グラサン、金髪、変態。
…
『て、ェエエエエ⁉︎……ッ』
ガバッと起き上がると体の節々に激痛が走る。
先程夢じゃないのは立証済みだが、
この痛み、どうやらこれまた夢ではないようだ。
わたしが痛みにうずくまっていると
グラサンが口を開いた。
「目が覚めたでござるか。
外傷はないようだがどこか痛むでござるか?」
うん。痛い。
でもこの痛みは…
『き、気にしないで下さい。
…ただの筋肉痛です…」
うん。
普段運動には縁がない私が
ちょっと体育の授業とかで頑張っちゃって、
翌日くるあの痛み。
数時間前(多分)の戦闘の反動が今来るということは
存外私もまだオバさんじゃないってことだ。
グラサンは何やら呆れた顔をしていたが
やがて思い出したように隣の金髪に指示をしている。
金髪が部屋を出て行く。
私はぽけーっとしてその後ろ姿を見やっている
グラサンが私にずいと近付いた
「お主も何やら色々とわかってない様子だが、拙者達も分からないことが多すぎる故、少し協力してもらうでござるよ」
首を縦に振ることしか許されないような雰囲気に気圧され、私はコク、コクと頷いた。
あ、首いて。筋肉痛いて。
ものの数分で例の隻眼のお方が
金髪と一緒に襖を開けてやってきた。
隻眼様は私を一瞥して
「俺はコイツと少し話がある。
少し向こうへ行ってろ」
部屋には私と高杉サマの二人きりになった。
き、気まずェー(^ω^;)
なんとも気まずい雰囲気の完成である。