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隻眼男と白兎

第15章 病院ではお静かに


『桂さんはどうしてここに?』

私が問いかけると、

「桂ではない!キャプテンカツーラだ!!」

ヅラの悪い癖が始まった…。

半ば呆れながら仕方ないから言い直す。

『えーっと、キャプテンカツーラさんは何でココにいるんでしょうか?』

「キャプテンカツーラではない!桂だ!!…ってアレ?キャプテンカツーラだ!!!」

もうどっちでもいいよ…。
というかいつも思うけど、そんな大声で身元バラして良いんだろうか。
お前指名手配犯だろ?

「いやなに、運転免許を取ろうと思ったのだが、もぐらにしてやられてな」

と言うことは銀さんと教習所の件の後か。
漫画的には序盤の方だな。

…てか、ノンビリ話し込んでる場合じゃなくない?
またお巡りさん二人組が戻ってくるかもしれない。

『桂さん、私そろそろ行きますね!』

足早に立ち去ろうとして、
突然腕を掴まれた。


見上げたその顔は真剣で、どこか悩ましげで。


「チサお主、俺とゲームをしないか?」

出てきたのは突拍子も無い言葉。

『ゲーム?』

「うむ。今から一時間の間、新選組から逃げ切ればお前の勝ち。捕まれば俺の勝ちだ。
…俺が勝ったらお主は鬼兵隊から立ち去れ」

………は?
鬼兵隊から立ち去る?

『…そんなの私になんのメリットもないじゃないですか!!絶対にやりませんよ!!』

「うむ。最もだな。ではお主が勝ったらこのうまい棒をやろう」

『いるかァアア!!』

差し出されたそれを思い切りはたき落とす。

「まったく、今時の子は贅沢で我儘ねまったくぅ」

お母さんンン⁉︎とツッコミたいけど腹立ってるからあえてスルー。

そんな中桂さんがぶつくさ言いながらガサゴソとどこからか取り出したのは一冊の冊子。

「これは高杉の成長過程アルバムだ。お前が勝ったらこれをやろ『やります!やらせてください!!』

……しまったァアアア!!

反射的に言ってしまった言葉に桂さんが“計算通り”とニヤリと笑う。

「では、逃げる範囲はここの棟の二階と三階のみだ。そこなら重症患者もいないからな。それと……

お巡りさァアアんンンン!!」

トントン拍子に話が進んで行き呆然としている私を他所に桂さんが病院中に聞こえそうな大きな声で叫ぶ。

『なっ!何やってんのォオ⁉︎』

慌てて桂さんの口を塞ぐがもう遅い。



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