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隻眼男と白兎

第14章 初めてのお仕事


*****

「あの小娘死ぬぞ?」

刀を交えながら田口の野郎が愉快そうに嗤う。

爆発の後傭兵部族が現れると同時に斬りかかってきたのは田口。
辰羅族は万斉に、残る荼吉尼族はガキの方へ行ったみたいだ。

「今はテメェの事だけ考えてろ」

とは言え、荼吉尼族を一人で相手取るガキの事は気掛かりだ。
コイツを早く片付けて応戦に行きたいところだが、なかなか付かない決着に俺は苛立ちを覚える。

チラリとガキを見れば、アイツは尻餅を付き降り注ぐ地面の破片を払いのけていた。

やはり劣勢か。


「ホラ高杉サン、余所見している場合じゃないんじゃないですかァ?」

ガキの方へ気を取られていた俺の隙を付いて田口が俺に足蹴を食らわせる。
それを躱したところで繰り出される第二の攻撃に気付くのが遅れ、俺は腕に切り傷を負った。


くそっ、アイツが気掛かりで集中出来やしねェ。

「手の空いてる奴はガキの援護に回れ!!」

声を張り上げると、それに気付いた何人かの隊士がガキの方へ向かったのが見えた。
これで少し保ってくれればいいが。


「鬼の総督様ともあろう方が随分と小娘如きにご執着してますねェ」

ニヤニヤと嗤って戯言を言う田口に俺は無言で刀をぶつける。

「…ハッ!アンタもしかして、ロリコ「…なっ⁉︎ンなわけあるか黙れ死ね」

その時ふと目線にガキの姿が映った。アイツは驚いた事に素手で荼吉尼族をタコ殴りにしていた。
少しずつ相手を後退させている。
その先は大量の鉄パイプの山。

…そういう事か。


その時はすぐにやってきた。

ドシャァァア
カラカラカラカラン

けたたましい音が鳴り響き、田口がその音の方へと目を向ける。

そこには肩で息をするガキの姿と、大量の鉄パイプに押し潰された荼吉尼族の姿があった。

「なっ…嘘だろ?」

田口が信じられないという顔付きで呟く。

「言ったろ?アイツは俺の番犬だ、ってな」

呆気にとられ隙だらけの田口へと刀を突き付ける。

「ま、待ってくれ!…そうだ!やり直そう!また手を結ぶ!前よりも多くの」

「ククッ……寝言は寝て言いやがれ」

惨めにも命乞いを始めるソイツに俺は問答無用で刀を振り下ろす。

やがてソイツが動かなくなったことを確認して刀を鞘に戻した。


終わったな。

今回ばかりはあの馬鹿ガキに例を言わなきゃならねェな…。

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