第14章 初めてのお仕事
やってきたのは江戸の薄暗い倉庫が建ち並ぶどこか。
屋根の上、扉の前、各々が持ち場につく。
私はといえば、高杉さんと万斉さんにくっついて正面入り口から堂々と入場である。
「ふむ、時間ピッタリだな鬼兵隊総督さんよぉ」
中へと入れば、ずらりと大勢の屈強そうな人達によるお出迎え。
その中の一番偉そうな態度の人が気怠そうに此方へ歩み寄る。
多分この人がリーダーの田口さんだろう。(あの後、ちゃんと高杉さんに説明を教えてもらったぉ)
「先日は大変だったそうじゃないですかぁ。艦体まで落とされたそうで」
「無駄話は結構だ。早速だが本題に移らせてもらう」
ニヤニヤと厭らしく笑い嫌味ったらしく言う田口さんを鋭い目付きで黙らせた高杉さんに私は拍手を贈りたい。
「今回のブツは仕入れが厄介でね、感謝してもらいたいものだ。………ところで、
そのちっこいのは何だ?」
明らかに私を見て訝しげな顔をしている。
「気にしないでくれ。ただの番犬だ」
高杉さんが憤る私の頭にポンと手を置く。
私がフンっと軽く威嚇して見せると、体を折り曲げて私をまじまじと見つめ、高らかと笑い出す田口コノヤロー。
「はははっ!随分と可愛らしい番犬を飼っておいでですなぁ高杉さんよォ」
(^ω^)
(^ω^♯)プッチン。
今オブラートに包んであったけど、ちっこい、弱そうって思っただろ!!
絶対思ったろ!!!
今にも飛びかかりそうな私の体を全力で引き止める万斉さん。
「落ち着くでござる!ここで暴れたら元も子もないでござるよ!」
小声で耳打ちする万斉さん。
しかしそんな小さな囁きは今の私には届かない。
万斉さんがやれやれと溜息をつき、さらに私に顔を近づけて、
「お主は可愛らしい女子って事でござるよ」
………
///!!!
万斉さん、天使かアンタはァアアア!!
チラリとこっちを見た高杉さんが凄く不機嫌そうだったのはなんでだろう?
田口コノヤローにムカついたのかな?
「では早速だが約束のものを確認させてもらうでござるよ」
「ええ、どーぞ」
その時、一緒ニヤリと歪んだ笑みを浮かべたのを私は見逃しはしなかった。
万斉さんが目の前の大きな何かを覆うブルーシートに手を掛ける。
そして。
顕になったのは大量の武器でも何でもなく、高々と積み上げられた大量の鉄パイプだった。