月島と恋愛に後ろ向きな三年生が付き合うまでのお話。
第2章 理由
立ち止まっていた場所から坂を下ってバス停のベンチに二人で腰掛けて。二人して冷たいカフェオレが入った缶を握り締めていた。プルタブを開けようと引っ掻く彼女の手から缶を取り上げ、まだ開けたばかりの自分の缶を手渡す。ありがとう、と彼女の声が聞こえる隣で自分のカフェオレ缶を開けて、同時に一口目を啜る。甘い。
隣の彼女を見る。冷たくて甘いカフェオレのお蔭か泣いて動揺していた彼女は、落ち着きを取り戻して悩ましげに言葉を選んでいる。
「なんて、話したらいいだろうね・・・・」
「支離滅裂とか意味不明でない限りどんなでもいいですよ」
「それはまた、難しいね・・・・」
困ったように微笑んで、カフェオレに口付けた。甘い、と小さく呟くのが聞こえる。一息ついて、再び両手で握った缶を見つめる彼女を沈みかけの太陽が照らした。