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月島と恋愛に後ろ向きな三年生が付き合うまでのお話。

第4章 約束


 彼女はきょとん、としていた。悩んでバレー部を辞めるに至った理由を否定しようとする僕を少なからず怒ると思う。でも、辞めたいならまだしも、辞めたくないなら引き止めてもいいだろ。
「仮に辞めて、空いた時間で何するんですか?」
「・・・・受験勉強かな」
「部活出られない時間は塾と勉強してるって言ってましたよね? そんなに成績まずいんですか?」
「成績は・・・・上の下くらい」
「親が勉強に煩いとか?」
「そんなことは、ないけど・・・・」
 矢継ぎ早に質問を投げていけば、戸惑いながらも答えが返って来る。ああ、ほら辞める理由なんてないじゃないか。念には念を。理由になりそうなものを潰しにかかる。
「約束、そんなに守りたいんですか?」
「だって・・・・守るものでしょう、約束って」
「約束は絶対って感じの頑なな親でもない限り、ちゃんと話せば許して貰えそうですけど」
「・・・・ほんとう?」
 少し明るくなった声のトーン。単純、と言うべきか。真っ向とでも言えばいいのか。約束ってヤツを正面から攻略する術しか知らなかったんだろうなと思う。そういうところが馬鹿だと思いながらも愛らしく見えるのだから怖い。
「辞める理由、まだありますか?」
「月島くんの所為でなくなっちゃったよ」
 ・・・・そうやって、無邪気に笑っていればいいんだ。
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