第8章 誓いと記憶
名前
『りょ、うた』
黒子
「黄瀬くんですか…!?」
黄瀬
《えっ、名字っちで合ってる…ッスよね?》
名前
『合ってるけど…何で、』
何で黄瀬くんから電話が来るの?と自分の中では慣れない黄瀬くん。という呼び方で彼を呼んだ
火神はそんなあたしに違和感を持ったのかクエスチョンマークを頭上に浮かべながらこちらを見ていた
黄瀬
《ごめんッス!》
名前
『…え』
黄瀬
《俺、名字っちのこと忘れてたッス》
名前
『涼太もしかして…思い出したの?』
少し震える声で涼太に問い掛けると、あたしを見ているテツヤと目が合った
彼の瞳に映るあたしは涙目になっており、拭おうかと思ったがそれはできなかった
黄瀬
《思い出したッスよ。全部》
名前
『…本当?』
黄瀬
《本当ッスよ
オレンジの髪も、バスケ部の聖母も》
名前
『その名前で呼ぶなっ、つの』
今日2回目の涙があたしの頬を伝う。新しい仲間である誠凛のみんなはあたしを見て驚いていたが、察してくれたようだった
喋れる状態で無くなってしまったために仕方なく後から電話をかけ直すと言い電話を切った
なぜ彼があたしのことを思い出した。というのを考えたみたが、その答えは出てきてくれなかった
だが、1人でも思い出してくれたというのならば希望が見つかったと同じになる
あたしは涙を拭い、テツヤに向かって微笑んだ