第8章 誓いと記憶
笠松
「そう言えばそいつ、黄瀬の知り合いつってたぞ」
黄瀬
「知り合いッスか?」
森山
「紹介してくれ黄瀬!笠松、名前は!?」
笠松
「…名前名字。つってた」
黄瀬
「名前名字…?」
さっきピアスをあげた女子も名字って名前だったな。と思い出してその子の顔も思い出す
瞬間、ふわりと優しい風が俺の頬を掠めて気づくと周りが白い空間へと変化していた
黄瀬
「…名字っ、ち?」
どこか懐かしい名前を呼ぶと俺の左耳についているピアスが小さく音を発し、脳内で帝光の制服を着たオレンジ色した髪の少女が映った
それと共に俺の中にあった帝光での記憶が割れ、本来の帝光の出来事が入ってきた
そして、彼女のことも思い出せた
黄瀬
「…あ」
さっき「俺と会ったことないッスか? 」と聞いたが、会ったことあるどころではない。毎日のように会ってたんだから知っていて当たり前だ
記憶の中で彼女は俺のことを駄犬とか呼びながら笑っていた。だけど俺の中ではその笑顔さえ愛しく思えた
そして今なら、名字っちがピアスをあげた時泣いていた理由もよく分かる
頬に涙が一筋流れた時、空間が白から綺麗なオレンジ色へと変化した
黄瀬
「思い出したッスよ。名字っち」