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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《2》

第49章 愛しています




もう1度言おう。部室のドアは開けてくれたテツヤに「ありがとー」と言って先に外に出ようとすると、あたしはおでこをグワァン!と見事大きな音を立ててぶつけた

目の前を確認すると普通にドアは開いているし、風だって入ってきている

考えられるのは、過去に1回だけ起きたあの透明な見えない壁…ならば…



名前
『あー…あたしはここで終わりみたい』


黒子
「…また見えない壁、ですか」


名前
『うん』



おそらくではあるが、帝光中学卒業式の後に体育館であった見えない壁が、またあたしの前に佇んでいた

テツヤはあたしの後ろではぁ…と溜め息を吐いていたため、謝ろうと思い振り向くと彼は目を赤くして、少し泣きそうな顔をしていた



名前
『…キセキの世代にメール送っとくわ』


黒子
「呼び出しますか?」


名前
『何分…いや何時間かかると思ってんだよ』


黒子
「冗談です」


名前
『真顔で言わないでよ紛らわしい』



クスクスと笑いながらテツヤから視線を外して、手袋を外して携帯を触っている自分の手へ視線を写すとだいぶ透けてきていた



黒子
「手袋していた理由が分かりました」


名前
『朝からね、体育館で消えるかと思ったんだけど…まさかここだとは』


黒子
「僕もびっくりです」


名前
『でもまあ…いっか、ここでも』



未練がない。と言ったら嘘になるが…何となく前々から消えそうな気はしていたため覚悟はできている。なんせ原作最終回、だから



黒子
「あのときみたいに、赤司くんのように僕がここから出てしまえば名字さんは消えてしまうんですか?」


名前
『多分。でも、これから練習だし行かないわけにいかないでしょ?』


黒子
「…はい」


名前
『じゃあさよなら…かな』


黒子
「…は、い」


名前
『泣かないでよ。あたしだって、我慢してるんだから…』



互いに涙をポロポロとこぼしても、あの時とは違ってあたしもテツヤも笑っている
そしてあたしは小さく深呼吸をして、テツヤの首に腕を回した




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