第7章 ピアスと後半と
再び桐皇ボールでリスタートし、今吉は桜井へとパスを出した
その理由は簡単で、12点に3Pを決めれば15点差になるからだ
笠松はそれに気付いて目を見開くと、森山が桜井のシュートを止めたのだ
桜井
「あっっ!?」
笠松
「よしっ!」
観客
「おおお止めたぁ!
差はまだ12点のままだ!」
黄瀬
「センパイ…」
森山
「いいからお前は自分の仕事に集中しろよ
そのかわり勝ったら、女の子紹介ヨロシク。合コンでも可」
早川
「なんすかそれ森山さん!」
黄瀬
「(……黒子っちの言ってたこと、最近ちょっとだけわかったような気がするッス
黒子っちの言っていた「チーム」…そのために何をすべきか…そして、俺が今何をすべきか)」
黄瀬がそう心の中で思った瞬間、彼の中にある帝光バスケ部での記憶が脳内で映った
そして彼は、意を決した
黄瀬
「じゃあその俺が相手なら、どうなるんスかね?」
そう言い脱力したポーズを取ってドリブルを始めた黄瀬
その姿が青峰に似ている。どころでは済まないほどできており、会場の人みんな目を見開いた
笠松
「待ちくたびれたぜまったく…とっとと倒してこい」
観客
「なっ…ついに黄瀬が、エース青峰を…抜いたあ!!!」
今吉
「(悪い予感が当たりよった…信じられへん
今の動きは文句なし…青峰のそれや!)」
海常ベンチ
「おおお!決めろ黄瀬ェ!」
青峰
「調子に乗ってんじゃ、ねェぞ黄瀬ェ!」
桃井
「ダメーッ!」
桃井の声と共鳴するかのようになったホイッスル、それと共にぶつかってきた青峰の後ろからシュートを決める黄瀬
それは綺麗な弧を描き、リングにぶつかることなくネットをくぐり抜けた