第41章 決勝前の
名前
『虹村、せんぱ、』
涙が溢れそうになり携帯を握っていない方の手で彼女が顔を覆うと、黒子はどういう状況か自身も聞こえていたため分かっていた彼女の背中をさすった
彼女の電話越しの相手は名前の呼び方に覚えがあったのか、「あ…?」と1回声を出した
虹村
「…もしかしてお前、名前か?」
名前
『っ!』
虹村
「おい、返事」
名前
『…名前名字です。お久しぶりです、虹村先輩』
虹村
「おう、久しぶり名前。つーかお前何で黒子の携帯から掛けてきてんだよ、誰だか分からなかっただろーが
あ、あとは電話っつーのもあるか…つか緊張してんのか?」
名前
『え、あ、はい。その…色々ありまして…』
虹村
「そーか…で、要件はなんだ?」
彼の質問に名前は少し躊躇って1度口を結んだが。ゆっくりと再度口を開いて「…あたしの事、覚えていますか?」と質問をした
虹村
「あ?覚えてるに決まってんだろ。つか何で忘れてるみたいになってんだよ…」
名前
『いや、あの』
虹村
「もしかして、お前のアドレスが消えたことと関係あんのか?」
名前
『あー…はい。そうです…ね』
それから彼女は「実は…」と彼に帝光で彼と最後にあった時から起こった出来事を少し簡略化させて話し始めた
そうして聴き終わった虹村は「なるほどな…」と言って笑った
虹村
「安心しろ。お前のこと、俺は忘れてねぇよ」
名前
『っ、あ、ありがとうございます』
虹村
「だから赤司もすぐお前のこと思い出すだろ…まあ思い出さなかったら黒子が殴れば思い出すだろ」
黒子
「え」
虹村
「まーとりあえず…お前らが元気そうで良かったわ…」
名前
『え、あ、はい』
虹村
「また何かあったら連絡しろよ。いつでも話聞いてやる」
名前
『は、い…』
虹村
「じゃあな」
そう言って彼は電話を切り、彼女が手に持っている携帯には通話時間が表示されて、ただ同じ音が機械的に鳴らされていた
その画面にはポタポタと彼女の涙が溢れて、黒子はそんな彼女の頭をただ無言でゆっくりとなでていた