第7章 ピアスと後半と
黒子
「さて、そろそろ戻りましょうか」
名前
『…目、腫れてるでしょ』
黒子
「そこまで目立ちませんよ」
名前
『て言うか、涙止まんないんだけど』
黒子
「それだけ名字さんにとって嬉しかったこと何でしょう?」
名前
『…うん。嬉しかった』
そう言うとテツヤはフッと微笑んで手を差し出してくれた
その表情が未だ涙が止まってないあたしの感情をさらに揺さぶって、余計にボロボロこぼれ落ち始めた
黒子
「行きましょう。みんな心配してると思いますよ
それに黄瀬くんの試合、見届けるんでしょう?」
名前
『当たり前、でしょ』
黒子
「のんびり行っても間に合うと思いますけど…どうしますか?」
名前
『…普通に歩いてくれていいよ
ただし、先導してね』
黒子
「もちろんです」
テツヤの手を取って会場の席へと歩き出す
と言っても、あたしはぐずぐず泣いているのでテツヤが連れてってくれると言ったから良いんだけど
▽▽▽▽▽▽
黒子
「すみません。遅れました」
火神
「おせーよ。って、はぁぁ!?」
黒子
「火神くん、声が大きいです」
火神
「名前なんで泣いてんだよ!」
名前
『泣いてなんか、ないもん』
火神
「思いっきり泣いてんじゃねーかよ!」
名前
『テツヤ、火神がぁぁぁぁ!』
日向
「…あーあ、火神泣かせた」
黒子
「泣いている女性には優しくしないとダメですよ」
火神
「黒子ォ…てめぇ」
ギャーギャー文句言ってくる火神のおかげで、さっきとは別の理由でまた涙がボロボロと落ちてくる
ふと右耳のピアスから何かと接触したようなチリッとした音が鳴り、その存在をアピールしていた
火神
「お前、ピアス何かしてたか?」
名前
『…さっきもらった』
日向
「だ、誰にだ!?」
名前
『涼太に…ですけど?』
伊月
「涼太って…黄瀬か?」
肯定を意味してコクりと頷くと、少し複雑そうな表情を見せた彼等
その時にまた、ピアスから音が聞こえた気がした